2020年03月07日

英雄は嘘がお好き

 それでは一席。
 時は19世紀のフランス、ボーグランのお屋敷では、次女のポリーヌの婚約が決まり、朝からにぎやかでございます。そこへお相手のヌヴィル大尉、真っ赤な軍服に白馬で颯爽と参上。まるでおとぎ話ですな。一方、ボーグランの長女であるエリザベットはにこりともしません。どうも大尉を信用してないご様子。
 婚約の挨拶もそこそこに、軍の伝令が飛んできて、大尉は戦場へ連れていかれます。毎日手紙を書くよ、と約束しますが、これが全く来ない。エリザベットによれば、女たらしのロクデナシ、なんだそうで。思い込みの激しいポリーヌは、すっかり落ち込んで病に臥せってしまいます。
 エリザベットは一計を案じ、大尉からの手紙を創作。たちまち元気になるポリーヌに気を良くし、手紙の内容はどんどん壮大な武勇伝に。エリザベットは大阪人の素質ありまんな、調子に乗って話が盛り盛りになるあたりが。で、ついには大尉に名誉の戦死を遂げさせてしまい、村に記念碑まで建つ始末。
 ところがどっこい、大尉は生きとった。しかもみすぼらしい脱走兵になっているではありまへんか。

(ほな、ここからはネタバレでっせ)

 別の旦那と結婚して子供までいるポリーヌに、今のヌヴィルを会わせるわけにはいかない。エリザベットは金を渡して姿を消すよう頼みますが、次の日、昔の大尉の恰好で颯爽とお屋敷に来やがった(笑) エリザベットの手紙のせいで、ヌヴィルはすっかり英雄としてもてはやされます。ボーグランの屋敷に住みつき、気ままに女遊びをしたり、ありもしないダイヤモンド鉱山の投資詐欺で稼いだりと、やりたい放題。しかし、エリザベットにとって、最も面白くないのは、彼女が書いた手紙を勝手に改変して人々に聞かせていること。人々は、〈英雄〉本人の見事な語り(騙り?)にすっかり魅了されています。
 あっしはここで、ええやん、と思うわけです。ヌヴィルは自信過剰なので、色々気に入らないのは、俺のことが気になっているからだ、で済まそうとしますが、エリザベットの側はどうも恋愛感情と違う。自分が創作した手紙への固執が大きいところが、妙に共感できるんですな。ヌヴィルと口裏を合わせるシーンは、まるで編集者と作家の打ち合わせみたいでした。
 戦線が近づき、屋敷に将軍(本物)が訪れます。ヌヴィルはそこで、脱走したことはごまかしつつも、初めて敗戦の実話を語ります。さらに敵兵が屋敷に近づき、ヌヴィルはついに覚悟を決めます。
 これらで見直したということなのか、今度はエリザベットがヌヴィルと婚約することになります。その日、婚約の挨拶もそこそこに、軍の伝令が飛んできて、大尉は戦場へ連れていかれます。あれ、この展開どっかで見たぞ。ヌヴィルは毎日手紙を書くよ、と約束。これも聞いたセリフだ。颯爽と門を出たところで、ヌヴィルの馬だけが逆方向に走り出しました。何も成長してねえ。
 生粋のフランス美人なのに、「こらアカンわ」という表情で見送るエリザベットが最高です。おあとがよろしいようで。

ヌヴィルのクズ度10
エリザベットのツンデレ度9
ポリーヌのメンヘラ度10
個人的総合 7
posted by Dr.K at 17:19| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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