2020年06月13日

オーケストラ!

 舞台はロシアのボリショイ交響楽団。清掃員のアンドレは、かつては天才的な指揮者だった。80年、共産党の意向に背いてユダヤ人の奏者たちを守ったために、楽団は解散させられ、音楽活動を禁じられたのだ。
 ある日、ボリショイ交響楽団にパリでの演奏依頼のファックスが届く。アンドレはそれを盗み取り、30年前の団員らを結集した偽の交響楽団で仕事を受けることを思いつく。

 ラストシーンの演出が面白い。
 ごたごたを乗り越えて実現したコンサートを、十数分にわたる圧巻の演奏シーンで描写する。しかし、いくら演奏が素晴らしくても、そのままではオーケストラ中継になってしまう。そこで、演奏中の心理の変化を表情で伝えたり、物語の種明かしとなる回想シーンを織り込んだりと、映像が退屈にならないよう工夫を凝らす。さらに、曲の後半では、普通だったら演奏後に描かれるであろう、後日談となる場面をテンポよく挿入していく。未来なのか妄想なのか、一瞬解釈に迷うような見せ方だ。
 しかし、この見せ方のおかげで、演奏が終わった瞬間にビシッと映画を終わることができるのだ。これは鮮やか。年齢の高い楽団員の中で、一人だけ若いメラニー・ロランの美しさも特筆ものである。

混迷度 8
音響 9
爽快度 9
個人的総合 7
posted by Dr.K at 23:45| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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