2020年10月20日

「新サクラ大戦」がイマイチな理由 その3

 最後は、ストーリーについて述べる。
 はじまり方は悪くなかったが、なんとも消化不良で釈然としない終わり方だった。

●キャラクター描写
 一新された華撃団のメンバーは、いずれも個性があり、良いキャラクターだ。しかし、過去作に比べると圧倒的に掘り下げが足りない

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 例えば、クラリスとあざみは、個別のエピソードが用意されているのだが、初穂にはない。中庭で霊晶石を守っている巫女、なんていくらでも背景がありそうじゃないか。制作中に削られたのでは、と勘繰ってしまう。
 白秋も、意味ありげに登場して何もしなかった。アニメでは活躍するらしいが、ゲームではずっと出ている必要のないキャラだ。
 エンディング直前では、大団円と呼ばれるアドベンチャーパートがあり、サポートメンバーとの好感度イベントが見られる。いい感じなのだが、唐突だ。これをやりたいなら、途中でもっとエピソードを入れておく必要がある。

●ギャルゲーはやめた?
 「サクラ大戦」シリーズでは、プレイヤーがヒロインを選ぶ、つまりはギャルゲーだ。だが「新」は、ギャルゲーとして見ると、非常にバランスの悪いストーリーだ。全編を通してさくらが中心となるため、わざわざ他のキャラをヒロインに選ぶ理由がないのである。また、アナスタシアのエピソードは、結末近くのメインストーリーに深く関わっているため、直後でヒロインに選ぶのは躊躇する流れである。
 バトルパートのほとんどで、出撃キャラを選べないことから見ても、制作側にはギャルゲーをやめる意図があったのではないか。その割には、個別デートやヒロイン別エンディングといった仕組みは残っており、中途半端だ。

●華撃団大戦
 世界の華撃団が戦って頂点を目指す。この設定により、弱小チームが優勝を目指すスポ根もののごときストーリーになる。過去のシリーズで秘密部隊とされていた華撃団にはない、新展開である。

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 その割には扱いが適当で、説明では演舞と演武の2種目があったはずだが、ゲーム中で行われるのは演武2戦のみ。上海やロンドン以外にも、いくつもの国が参加しているようだが、それらについての言及もない。もとの構想からどれだけ削ったらこんなことになるのか。そして、ラスボスの出現によって、競技どころではなくなってしまうわけだが、最強との呼び声高いベルリンとの決勝戦はぜひ見たかった。済んでからラスボスが出たっていいはずだ。

●旧作とのリンク
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 これが一番の中途半端。
 「6」ではなく「新」なのだから、新隊長と新隊員のもと、別の世界の話としてリブートすればよかったのである。それなら何がどう変わろうと文句をつける筋合いはない。
 ところが、神崎すみれを支配人に据えたり、真宮寺さくらが降魔に寝返って夜叉となったと思わせたり、過去作と同じ世界に見せようとするからおかしくなる。意味もなく散らばっている過去のキャラのブロマイドを見ても、昔のファンを安易に扱っているとしか思えない。

●歌劇へのこだわりのなさ
 「サクラ大戦」は、広井王子が子供のころ、叔母が歌劇に関わっていたことから発想された。広井の、歌劇に対する懐古や憧れがあの設定を生み出したのだ。
 「新サクラ大戦」は、広井が関わらないことで、歌劇へのこだわりがなくなった。演目も少なく、描写も極めて少ない。アナスタシアが歌舞伎に足しげく通っているが、旧作ならその演目と本筋のストーリーとをリンクさせる、くらいのことは必ずやってのける。そしてクリスマス、「奇跡の鐘」のステージのしょぼさは、過去作なら許されないレベルだと思う。

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 エンディングに至っては、今どきのアイドルのステージになっており、観客はサイリウムまで振っている。アイドルゲームなんてとっくに見飽きている。太正ロマンなら、ここは絶対宝塚風のレビューにするべきだ。オープニングでレビュー風の場面を描いているのに、この一貫性のなさは何なんだ。

 細かいところで、カットシーンがうまくつながっていない場面も気になった。手分けして部分を作ったものの、全体をまとめ、指揮する求心力が欠けていたのではないか。続編を出すなら、もっと完成度にこだわってほしい。
posted by Dr.K at 23:41| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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