何度見ても惚れ惚れするギガントの雄姿。多様な武器を備えている、故障個所をパージできるなど、わくわくするギミックが満載だ。
レーザー砲で三角塔を一撃、最終兵器の恐ろしさを見せていたにも関わらず、コナンらの活躍であっさり墜ちてしまう。その様子はなんだかもの悲しい。
最強と思われていたものが、真価を発揮することなく滅ぶ。この見せ方は、宮崎駿のこだわりなのだろうか。「風の谷のナウシカ」では、巨神兵がわずかな稼働で腐り落ちた。「天空の城ラピュタ」は、ラピュタの雷を見せつけた後、バルスで崩壊する。それらはいずれも、ハッピーエンドへの道筋のみならず、滅びの美学とでもいうべきものを感じさせる。
委員会の長老たちは、沈みゆくインダストリアに残る決意をした。これもまた滅ぶ者の美だ。ギガントから脱出しようとあがき、みっともない最期を見せたレプカとの対比が効いている。
地殻変動によりインダストリアは海へ没する。このときの禍禍しい景色もまた、滅びの美学に満ちている。