2021年01月02日

ルース・エドガー

 予備知識0で観たら、なんとも恐ろしい映画だった。

 17歳のルースは、人望厚くスピーチに長け、学業もスポーツもできる優等生。アフリカで少年兵として育てられた悲惨な過去を持つが、養子として引き取られたアメリカで理想的な成長を遂げた、と周囲からは見られていた。あるとき、ウィルソン先生は、ルースのレポートに疑念を持つ。歴史上の偉人になったつもりで主張を書け、というその課題に対し、アフリカの過激派の言葉を記していたのだ。

 表裏があり、何を考えているかわからない人物、なんてのは他の映画でもよく登場する。だが、そういう作品では、彼と接触する誰かが主人公となり、観客と視点を一にしているはずだ。観客は、主人公とともに、謎の人物を追っていくことで内容を理解しようとする。
 ところが、「ルース・エドガー」では、何を考えているのかわからない本人が主人公なのである。これが気持ち悪い。はじめは、主人公目線で共感さえするが、次第に状況が不透明になっていく。愛をもって育ててきただけに、養父、養母のうろたえぶりが痛ましい。これはとんでもない結末になるのでは、とスリル満点の後半だった。後から見返せば、彼の行動の真意がわかるようなヒントがあるのだろうか? 珍しく深刻な演技のオクタヴィア・スペンサー(ウィルソン先生役)も見どころだ。

社会派度 9
不透明度 8
不気味度 9
個人的総合 5
posted by Dr.K at 12:18| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: