2021年01月11日

感情に寄り添うゲーム 「florence」

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 swichで半額セールをやっていたので購入。さらっと手描きしたようなビジュアル、1時間もかからず結末に達する短さだが、内容は決して軽くない。多くのゲーム賞にノミネートされたのも納得の出来だ。
 フローレンス・ヨー。中国系のオーストラリア人。25歳。事務員。この、私とは何の共通点もない女性の感情が、なぜこんなにも的確に伝わってくるのか。事前の知識がない方が楽しめるので、できれば以下は読まず先にプレイしてほしい。switch以外に、スマホやPCでもリリースされている。

注意:以下ネタバレを含む

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 朝起きる。歯を磨く。通勤中にSNSを見る。ボタンを押したり、スティックを動かしたりという単純な操作で、フローレンスの日常が進んでいく。Webコミックにちょっと手間が加わった感じかな? 別に面白くない。

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 だが、しばらく進めると、これらの操作がフローレンスの感情に寄り添っていることに気づく。面白くないのは、面白くない日常を表していたのか…。上の画面では、時計を回すと次へ進む。逆回しで戻す操作も可能だが、それではお話が先へ進まない。この仕組みはゲーム中に何度か出てくるが、人生の不可逆性が形になった感じで、なんとも切ない。


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 フローレンスは、ミュージシャン志望のクリシュと出会い、恋に落ちる。上の画面では、パズルを組み立てることでセリフを発する。会話の内容は一切書かれないが、好きな人相手になかなか言葉が出ない雰囲気が、手に取るように伝わる。そして、デートを繰り返すごとに、パズルのピースが減って簡単になる。だんだん自然に話せるようになっているのか、なるほど、と感心する。

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 同居することになったシーンでは、お互いの持ち物をどう配置するか考える。どう置いてもクリアにはなるのだが、ここまで進む頃には、すっかり二人の気持ちになっており、大事なものはどれか、まじめに考えてしまう。

 物語終盤、クリシェとの破局を、解けないパズルによって表現したのにはうなった。ゲームは解けるもの、という常識をあっさり覆された。どうにもならない、という状況をこれ以上端的に表す方法はない。
 私は、「Heavy Rain」や「Detroit」をプレイしているので、ゲームキャラとプレイヤーの感情を一致させるには、ハイエンドのグラフィックと緻密なシナリオが必要だと思い込んでいた。こんなシンプルな作りで、それらに匹敵するものを実現できてしまうとは、ただただ感心するしかない。

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 ここからは余談。作中で一番気になったシーン。パンの耳を残す人はけっこういると思うが、ピザの端を食べない人は初めて見た。

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 一番好きなシーン。文字通り、背中を押してあげる。アニメーションがないのがかえってかわいい。

posted by Dr.K at 13:57| Comment(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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