またもやインド映画の底力を見せられることになった。面白すぎる。
●実話に基づく??
ラケーシュは、インドの威信をかけたロケット打上げに失敗。プロジェクトは元NASAのいけ好かないエリートに奪われ、ラケーシュは閑職の火星探査チームに異動になる。予算も少なく、新たに集められたメンバーは、経験の乏しい若手を中心とするスタッフだった。
一応実話に基づくので、地味でまじめな内容に終始してもおかしくないのだが、さすがインド映画、エンターテインメントに振り切っている。集まったスタッフのキャラが立っていて面白い。タイプの違う美女がずらりと並ぶので、見た目にも麗しい。
●主題はチーム作り
実話ベースの宇宙開発、という題材は、科学考証の関係で難しい話になりがち。ところが、「ミッション・マンガル」はそういう面倒は一切すっとばす。予算の問題は主婦の節約術でなんとかなってしまう。やる気に乏しくバラバラになっているチームを一つにまとめる、チーム作りのほうが主題になっているので、誰でも共感しやすい話になっていて上手い。メンバーが、科学を志した原点を思い出すシーンには、ベタながら泣きそうになった。
●メリハリがすごい
チームが一つになれば、あとはどうとでもなる。踊っている間にオフィスが改装され、あっという間に探査機が完成するので驚いた。思い切りのいい省略で、物語が加速する。
打上げが成功してからは、さらにすごい。火星に着くまでに数か月、各メンバーの日常にも色々なことが起こるだろうに、その時間をほとんど無視して話をつないでいる。おかげで最後までダレない。
●理想のポリコレ映画
実際の火星探査プロジェクトは、この映画のように女性中心ではない。本作は、宇宙開発という特殊な題材を扱いつつ、女性の社会進出を応援する映画だ。私はいわゆるポリコレが嫌いで、ハリウッド映画の主役が黒人や女性ばかりになっているのを見ると、うんざりする。だが、「ミッション・マンガル」ではそう思わない。なぜなら、女性が元気に活躍する姿のみが描かれ、白人や男性が無理矢理悪役にさせられていないからだ。タラの夫は、一見横暴だが憎めないところがあるし、軍人であるクリティカの夫の紳士ぶりは素晴らしい。
最後に、事実を知って驚いたこと。インドでは、宇宙開発出身の科学者が大統領になったことがある。また、探査機マンガルヤーンは、今も元気に(?)火星を回っているそうだ。
男性紳士度 7
女性美人度 9
気力充実度 10
個人的総合 9