「カプコンアーケードスタジアム」は、Switchのダウンロード専売ソフト。レトロアーケードゲーム集だが、売り方が変わっている。まず「1943」のみがプレイできる基本システムを無料で落とし、10本のゲームが入ったパックを1500円で追加購入するという仕組みだ。3つのパックをすべて買うと、特典の「魔界村」が手に入るので、全部で32本のゲームが遊べることになる。
「プロギアの嵐」など、初移植となるタイトルはあるものの、「スト2」のように何度も復刻されているゲームも多く、2年ちょい前の「カプコン ベルトアクション コレクション」に至ってはだだかぶりだ。ラインアップとしてはイマイチだな、とぶつくさ言いながら起動した。
すると、カプコンのロゴに続いて、REエンジンのロゴが表示された。REエンジンは、「バイオハザード」など最先端の3Dゲームを開発するための、カプコン自慢の内製エンジンである。レトロゲームの移植には全く必要ない。首をかしげていると、筐体の並ぶメニュー画面が表示された。ああ、このバーチャルなゲーセンを作るのに使ったのか。
ゲームを選んでプレイしたら、何じゃこりゃ、となった。筐体が表示されたままゲームが始まったからである。右スティックを操作すると視点が動き、隣の画面が見えたり、手元のコンパネが見えたりもする。普通にゲーム画面のみの表示にすることは可能だが、デフォルトがこの方式なのはこれがお勧めということなのだろう。
かつて、レトロゲームの復刻版では、元のゲームの再現度が商品価値そのものだった。しかし、今はそれだけでは売れない。例えば、ミニファミコンは、なつかしいゲーム機の本体を再現することで、買って手元に置いておきたい逸品となった。昨年セガから出たアストロシティミニは、アーケードゲーム筐体を再現したものである。
そして、この「カプコンアーケードスタジアム」では、バーチャルではあるが筐体ごと再現して見せた。設定を変えれば、カプコン製の様々な筐体を選ぶことができる。かつて私はアーケードゲームのプランナーであり、ロケテストのためにこれらの筐体を運んだりゲームを入れ替えたりするのが仕事だった。懐かしくてたまらん。
今のゲームセンターにブラウン管の筐体などもちろんない。この再現は、ファンのためのサービスだが、下手をすると歴史的な資料になるかも知れぬ。もしもPS4やPS5で展開することがあれば、VRへの対応を検討すべきだ。
課金せず1943と魔界村だけ遊んでますけど入ってないゲームも一覧に出てくるんで選ぶのがめんどくさいです
まだまだ未収録はありますので、4つ目以降のパックが出るのか、気になるところです。