2022年05月15日

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた

 いまや映画賞常連のカートゥーン・サルーンによるアニメ映画。リバイバル上映を観たまま感想を書きませんでしたが、こんなニュースが飛び込んできました。


 待ってました! 海外ではすでに販売されていたのですが、ようやく日本語吹替版も手に入れることができます。ただ、売り方としてはちょっと問題があって。初ディスク化となる「ウルフウォーカー」の、ばら売りの予定がないのです。これは、「ウルフウォーカー」の権利をネット配信大手のAppleTV+が獲得したためです。以前からのファンなら、収録作の単品を買っている人も多いでしょうから、これだけのために高価いBOXをまるごと買わされるのは負担になってしまいます。幸いにも私は、「ウルフウォーカー」でカートゥーン・サルーンを知ったにわかですので、迷わず予約購入です。

 ソング・オブ・ザ・シーは、ケルト神話を扱った2本目となる作品。
 灯台守のコナーは、海の精霊ブロナーと恋に落ち、夫婦になります。息子のベンも生まれ、幸せに暮らしますが、シアーシャが生まれた夜にブロナーは海へ消えてしまいます。成長したシアーシャは口がきけず、徐々に精霊としての運命に導かれていくようでした。
 色々台無しですが、はじまり方が「アクアマン」にそっくりです。ただ、アクアマンは成長して野蛮なオッサンになりましたが、シアーシャのかわいさは神がかっており、一挙手一投足に目が離せません。コナーやベンはいかにも白人、といった顔なのですが、ブロナーとシアーシャは日本の絵に見えるときがあり、妙な親近感があります。
 シアーシャはセルキーと呼ばれる精霊で、海中ではアザラシに姿を変えます。ゴマフアザラシの赤ちゃんみたいで、これがまたかわいい。立体感のない日本昔話のような抽象化された絵が生き生きと動き、とてもインパクトがあります。
 海の精霊の親子、という点では「崖の上のポニョ」とも共通項がありますが、母娘ともども、あのような凶暴性はありません。
 さて、ベンとシアーシャを心配する祖母は、二人を町の自宅で預かろうとします。兄妹は灯台へ帰ろうと家を抜け出しますが、シアーシャは何者かに狙われていました…
 物語の中で、精霊たちは力を奪われ石化しており、セルキーの歌により救われると信じています。しかしクライマックス、シアーシャの歌によって石化か解かれる、のではなく、魂が抜けだしたような表現になっていました。精霊の国へ帰っていくビジュアルは、あの世へ旅立つかのようでした。アイルランドの各地に残される石像は、かつては本当に精霊だったのだ、という神話なのでしょう。いつか実物を見てみたいと思いました。

デザイン性 10
かわいさ 10
音楽性 8
個人的総合 8
posted by Dr.K at 11:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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