ある日、会社から帰った徹生(柄本佑)は、自分が3年前に自殺したと聞かされ戸惑う。この頃、国内の各地で、死んだはずの者が生きて現れる現象が起こっており、彼らは〈復生者〉と呼ばれていた。
「母、小学生になる」は傑作だった。また、古くは「黄泉がえり」なんて映画もヒットした。死者が生き返る話はいくつもあるが、その多くは〈いい話〉として書かれ、奇跡的な再会を劇的に描いていた。
だが、「空白を満たしなさい」は、なんだか違う。生き返った徹生を前に、妻の千佳(鈴木杏)は戸惑い、迷惑そうですらある。息子はなつかないし、会社にも居場所はない。生き返った甲斐がなく、主人公が気の毒だ。
死の前後の記憶がない徹生は、自分は殺されたのではないかと考え、犯人の候補として警備員の佐伯(阿部サダヲ)を思い出す。ここで一気に物語が転調する。ホラー映画もかくやという阿部の怪演に息をのんでいたら1話が終わってしまった。なんという気色悪さ。ろくでもない結末の予感しかしないが、これはもう続きを観るしかない。