2022年06月28日

トイ・ストーリー4

 完璧だった「3」にこんな続きを追加するなんて、そりゃ文句もでるわけだ。

 前作の感動の結末で見失いがちだが、「トイ・ストーリー」の醍醐味はそのしょうもなさにある。オモチャのすることなので、子供っぽくてバカバカしい。バズの初登場など、本物の宇宙飛行士と思い込んでいるヤバい奴だったではないか。しかし、そんなキャラクターだからこそ、何をするかわからず、わくわくして観ることができたのだ。
 しかるに「4」ときたら、シリアスで憂鬱な空気が全編を覆ってしまっている。例えばフォーキー。ボニーの工作で生まれたが、自分をゴミと認識しており、すぐゴミ箱へ飛び込もうとする。ギャグのつもりかもしれないが、病んでいるように見えて気が滅入る。おもちゃを自作するとは素晴らしい、なんてクリエイティブなんだ、と称賛する奴が誰もいないのはどうしたことか。ボーは再登場となるヒロインだが、アクションスター気取りで、まるで別人だ。持ち主がいない状態でサバイバル生活を送っており、頼もしいが荒んでいる感じがする。ギャビーギャビーは敵ポジションとはいえ、結末以外はとにかく陰鬱。
 そして主人公のウッディ。昔の陽気さはどこへやら、心の離れてしまったボニーをひたすら思うだけの、痛々しいキャラに落ちぶれている。結末もボーに拾われた感じでなんだかめでたくない。それに引きずられたわけではあるまいが、バズを吹き替える所さんの声にも元気がない。
 オモチャたちの力で車を動かす強引さは、タコが車を乗っとる「ファインディング・ドリー」を思わせる。最新作なので映像はすごいが、どうにも好きになれないストーリーだ。

映像美 9
楽しさ 4
超展開 8
個人的総合 4
posted by Dr.K at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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