ゲーム開発の実態にせまるノンフィクション、という点では前作と同様。しかし、「リセットを押せ」では、各章の内容がつながっているのが凄い。スタジオの閉鎖やレイオフによって、開発者が流出し、異動先でもまた同様の事が起きてしまう。特筆すべき事例を取材しているのだとは思うが、アメリカのゲーム企業の雇用の不安定さには驚いてばかりだ。こんな状況でよく大作を仕上げられるものだ。
そして、本書すべての事件の起点となっているのが、「バイオショック インフィニット」のイラショナル・ゲームズ。私の大好きなゲームなのだが、開発現場にこんなに問題があったとは。
メジャーリーグの名投手、カート・シリングが引退後にゲーム企業を設立していたとはびっくり。その倒産までの道のりはあまりに現実離れして華々しかった。日本でも、90年代にはゲームを全く知らない企業が、ゲーム開発に手を出しては大損していたのを思い出す。
持続性という観点では、日本のゲーム企業の方が何倍もマシということがわかった。海外への憧れが消し飛ぶ名著だ。

