2023年09月10日

私が「リセットを押せ ゲーム業界における破滅と再生の物語」に感心した理由

pushreset.jpg ジェイソン・シュライアーの新刊が出ていたので買った。前作「血と汗とピクセル」も面白かったが、それ以上の内容だった。

 ゲーム開発の実態にせまるノンフィクション、という点では前作と同様。しかし、「リセットを押せ」では、各章の内容がつながっているのが凄い。スタジオの閉鎖やレイオフによって、開発者が流出し、異動先でもまた同様の事が起きてしまう。特筆すべき事例を取材しているのだとは思うが、アメリカのゲーム企業の雇用の不安定さには驚いてばかりだ。こんな状況でよく大作を仕上げられるものだ。
 そして、本書すべての事件の起点となっているのが、「バイオショック インフィニット」のイラショナル・ゲームズ。私の大好きなゲームなのだが、開発現場にこんなに問題があったとは。
 メジャーリーグの名投手、カート・シリングが引退後にゲーム企業を設立していたとはびっくり。その倒産までの道のりはあまりに現実離れして華々しかった。日本でも、90年代にはゲームを全く知らない企業が、ゲーム開発に手を出しては大損していたのを思い出す。

 持続性という観点では、日本のゲーム企業の方が何倍もマシということがわかった。海外への憧れが消し飛ぶ名著だ。
posted by Dr.K at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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