「アドベンチャーゲームの歴史を振り返る」
本稿は、これらの続編にあたる。ただし、必ずしも年代順にはならない予定なので、記事名を〈特異点〉と改め、アドベンチャーゲームの歴史に起こった特別な出来事をとり上げていこうと思う。
●やるドラ登場
「ダブルキャスト」(98)SCE
「みるドラマから、やるドラマへ」
〈やるドラ〉とは、全編がアニメーションで表現されたアドベンチャーゲーム。アニメーションはテレビや映画で実績のあるプロダクションI.Gが制作し、ソニーが全力でプロモーションを展開、半年で4作をリリースする大プロジェクトだった。
一作目となる「ダブルキャスト」は、ショッキングな展開が話題を呼び、30万本以上を売り上げた。
●やるドラの背景
PS1は、CD-ROMを搭載し、大容量を使えるゲーム機だ。97年には、スクウェアから「ファイナルファンタジーVII」が発売され、大ヒットしている。プレイヤーは、通常時は粗いポリゴンで描かれた等身の低いクラウドを操作するが、ここぞのムービーではフォトリアルなCGのクラウドがファンを魅了した。このように、当時のムービーは価値が高く、ゲームを進めたことのご褒美として機能していた。
ならば、すべてをムービーとし、アニメ会社に制作をまかせれば、これまでにない贅沢なゲームにできるのでは? また、RPGやシミュレーションと違い、プレイヤーの力量を必要としない選択肢ゲームなら、広く一般層がプレイできるのでは? 企画の背景としてはこんなところだろう。
●やるドラの衰退
オーソドックスな恋愛ものである「季節を抱きしめて」、綾波レイ役で人気絶頂の林原めぐみを起用した「サンパギータ」はともかく、4作目となる「雪割りの花」はわずか3万本と急失速した。私もプレイしたのだが、ドラマとしては評価できるものの、あまりに地味で陰鬱、別のエンディングを見るために繰り返すのが苦しかった記憶がある。
「ダブルキャスト」の時点では目新しさがあったが、プレイ時間が短く割高に感じたプレイヤーが多かったのだろう。シリーズの固定ファンを作るには至らなかった。
●やるドラの最期
PS2になってからも、「スキャンダル」(00)、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」(00)と、やるドラは続いている。DVDになって、アニメの質も向上したが、人気を回復することはなかった。
「サーヴィランス」(02)SCE
監視カメラから情報収集をするゲームで、複数のアニメ映像が同時に流れる凝った作り。やるドラのスタッフが新システムに挑戦した、シリーズの精神的後継作である。ソニーもすっかりあきらめていたのか、プロモーションもほとんど記憶がない。初週1万本以下という惨敗であった。
では、なぜ人気が失われたのか。それは、「ファイナルファンタジーVII」でありがたがられたムービーデモの価値が急速に下がったことが原因と考える。次回、その流れを検証する。


深夜の短い番組でサンパギータがやってて、
めちゃくちゃ面白そうで何回か観てました。
なのに結局買わなかったんですよね。。
後年購入するも眠ってます。。
PS2でもシリーズが続いてたとは知らなかったです。
次回も楽しみです。
本当に短命なジャンルでした。