2025年06月15日

JUNK WORLD

 遥か昔、聖書や神話を書いた人たちも、きっと楽しかったんだろう。

 「ジャンク・ヘッド」から4年、思ったより早く登場した続編は、正直言って心配だった。前作は、監督の堀貴秀がほぼ一人で作り、その異常なまでのこだわりが評価され、全国のミニシアターで楽しまれた。今回はその成果を受けて、スタッフも増員し、アニプレックスが配給し、東宝などのメジャーな映画館で上映と大出世している。中途半端に有名になる事で、個性が損なわれてしまうのではないか? 凡作に収まってしまうのではないか? そこが心配だったのだ。
 第一幕、予想が的中してしまったか、とがっかりした。確かに映像はスケールアップしている。しかし、この行き当たりばったりの進行はどうだ。もともと、映像については素人だった監督が独学で始めた「ジャンク・ヘッド」。以後、アニメーションはうまくなったが、シナリオについては素人のままということか。
 ところが第二幕、その予断は吹っ飛ばされる。第一幕の粗さは計算されたものだったのだ! 監督がついこの前まで素人だった、という知識のせいで騙されてしまった。
 以降も物語は膨張を続け、ついには「ジャンク・ワールド」のタイトルにふさわしく、新しい神が、世界がそこに顕現する。人類が滅びかかったディストピアだというのに、画面のどこからも創造の喜びが発せられていて、私は幸福感で満たされた。ロビンの一挙手一投足に、監督の思いが投影されているように感じるのは、物語のせいだけではなく、ストップ・モーションで作られているからこそだろう。
 前作同様、ギャグはしょうもないが、日本語よりもゴニョゴニョ版(字幕)がお勧め。聞き取らせるつもりがない言語なのをよいことに、あちこちで悪ふざけしていて失笑が起こっていた。
 パンフレットはついに2500円に達した。前作同様すべてが監督の言葉で占められ、評論家のレビューもない。見どころはすべてです! と言う監督は他にもいると思うが、だからといって全カットの写真を載せるなんて前代未聞。他の映画の倍以上の分厚さになっている。

 メジャー路線への意欲など全くなく、初志貫徹のインディー仕様。このぶんだと客入りも悪そうなので、速攻で記事にした。物語を、世界を創ることの楽しさがここまで伝わってくる作品は他にないので、クリエイター志望者には特にお薦めだ。ぜひ皆さんもこの奇跡を見てほしい。そして私は、完結作となる三度目の奇跡をぜひとも、この目で見届けたいと思うのだ。

映像美 8
神話度 10
唯一無二度 9
個人的総合 9
posted by Dr.K at 12:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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