「小説は単独では存在し得ない。過去の作品の引用と模倣によって成り立つのである。」と、後藤明生は言った。だからと言って、中身の半分が引用というのはどうやねん、と先生の小説に首をかしげていたのが大学生の私である。それから35年、「デスストランディング2」をプレイしながら、先生の講義を思い出すことになるとは思わなかった。ゲームが前作で確立しているのをいいことに、あちらこちらで小島秀夫の趣味が引用されている。
●ギターVS侍
敵役のヒッグスは、前作にも登場していたが、今回は見た目が違って、クラウザーさんみたいになっている。そこへ、謎の侍が登場し、ギターと刀で壮絶な殺陣を始める。サムはあっけにとられて見るのみ、全然ゲームさせるつもりがない! これ完全に監督の趣味でしょ。
●温泉ジャンプ
温泉は前作にもあったが、「2」ではもぐることでワープできる。まるっきり「テルマエ・ロマエ」で笑ってしまう。残念ながら、タイミングが合わず、私は「いい湯だな」を聞くことが出来ていない。なんだこの歌は、と海外のプレイヤーを混乱させているらしい。小島秀夫は何を伝えているんだ。
●世界の伊藤潤二
F5東配送センターで、唐突にイラストがもらえる。2024年に対談があったのがきっかけだろうか。絵は描き下ろしても、キャラクターとして出演はしない、というあたりがシャイな伊藤先生らしい。このイラスト柄のスーツも手に入るが、呪力のせいかBTを避ける機能があるので、以降のステージで愛用している。
●白鯨
タールマンが貸してくれる本は「白鯨」。内容をドールマンが説明してくれるが、途中でコジプロに似ている、と唐突なメタ発言を始める。「白鯨」を引用していると言えば、このゲームよりも「メタルギアソリッドV」の方だろう。ニール戦も「メタルギア」シリーズを思わせるし、「デスストランディング2」を最後までプレイすれば、実質「メタルギア」シリーズの後継作と判明するようなことになるのかもしれない。

