あまり評判が良くないが、個人的には「新たなる支配者」よりは楽しめた。
●別シリーズじゃダメ?
「炎の王国」で、恐竜たちが放たれてしまったため、「新たなる支配者」は恐竜が野生動物のように人類と共存する、まさしく「ジュラシック・ワールド」となった。ところが今回、冒頭のテロップで、恐竜が現代の気候に馴染めず、赤道の特定の地域以外で死滅したと告げられる。ここまでを無かったことにする強引さに驚いた。「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が似たようなことをやっていたのを思い出す。
大ヒットシリーズの続編だからこそ商売になるのは承知の上だが、キャストも一新されていることだし、「ジュラシック〇〇」という新シリーズとしてスタートした方が良かったのではないか。「ガンダム」や「ゴジラ」のように毎回世界観が違ってもファンがついてくる、というのは日本だけなのだろうか。
●バカ映画宣言
研究所で新しい恐竜を作っていたら、事故が起こって…というお約束の始まり方なのだが、原因がお菓子の袋というしょうもなさ! 事故なんていくらでも想像できるはずなので、わざわざこんな原因にしたのは理由があるはず。
もともと、スピルバーグ監督が「サメの次は恐竜だ!」くらいのノリで撮ったのが元祖「ジュラシック・パーク」。ところが、シリーズを重ねるにつれて、科学のモラルを問う内容や、人類と恐竜の共存といった、高級感のあるテーマが目立つようになってきた。
「復活の大地」の始まりは、これはただの恐竜パニックでバカ映画ですよ、と宣言する。主人公たちが命じられる、陸海空のデカい恐竜からサンプルを採れ、というミッションもバカっぽいし、何も知らない一家が騒ぎに巻き込まれ、運だけで生き残っていく展開もバカっぽい。そんなわけで、ストーリーについてはおよそ褒められないが、一つ一つの場面は迫力があって映像としては非常に楽しい。
●やっぱり別シリーズじゃダメ?
物語終盤、施設に着いた一行はミュータント恐竜に襲われる。旧作のオマージュとなる場面であり、普通にラプトルでも良さそうなシーンだ。しかし、前作までのブルーの活躍により、ラプトルを敵として出しにくい事情があるのだろう。Dレックスの囮になった傭兵が助かったのには驚いたが、続編で再度遭遇させようという手加減だろうか。やっぱりシリーズを改めて、この監督お得意の怪獣プロレスをやらせたほうが思い切りが良かった気がする。
楽しさ 8
深刻度 1
作家性 2
個人的総合 6
深刻度 1
作家性 2
個人的総合 6


制作側も納得してないところもあったのかも(単にヒットするから続編作っただけかもしれないですが