万博は行かないが、万博大爆発は観に行く。
2025年、万博で盛り上がる世相の裏で、世界の支配を目論む組織が暗躍していた。彼らは、タローマンこそが未来を脅かすとの結論に達し、1970年の万博会場へ、時を越えて刺客を放つ。
人を選ぶ傑作だ。NHKで放送された「タローマン」が面白かったという人は必見。ファンにとっては、うまくてきれいで心地よすぎる。
ご存知の通り、もとは1話5分のシリーズ。映画の尺では間延びしてしまうのでは、と心配したが、テレビでは描けなかった隊員にスポットをあて、彼らの魅力を引き出していた。特に、風来坊はほとんど主役と言っていい活躍。中年隊員も悪い味を出していた。 映画としてクライマックスをきちんと盛り上げることと、タローマンらしくでたらめであることとを両立したシナリオは見事だ。このぶんだとタローマン、やろうと思えば和製デッドプールになれるな。
映画なのに、前後にお馴染みの解説パートがあるのだが、内容が本編とかみ合わず、でたらめさに加担しているのが憎い。
パンフレットが最高。70年代科学雑誌風の前半、解説やレビューになっている後半、の二部構成になっていて読み応えがある。この映画を完成させた監督やスタッフはもちろん素晴らしいが、許可を出した岡本太郎財団の言葉が凄い。
「映画的な事情、たとえば恋愛のシーンを入れる、有名俳優を入れるなど、そういったしがらみ無しで、君が作りたいものを作るというのであれば作っても良い」
確かに、有名俳優が出てしまったら、70年代の特撮という前提が崩れる。映画監督としては新人の藤井亮、この言葉がなかったらどんな横槍が入っていたことやら。
冒頭で、配給のアスミック・エースに続いて、「豪勢スタジオ」のロゴが表示される。昭和風に見せる演出か、アニメ映画の製作委員会みたいな今回限りのものだろう、と思っていたら、なんと、実在する藤井監督の事務所だった。豪勢な今後に注目である。
岡本太郎度 10
バトル描写 8
パンフレット 10
個人的総合 8
他の方のレビュー
極寒の国より/珍作映画を求めて:あらすじ・なんだこれは
とかとか:少なくとも私は読んだ


自分が行った映画の中で過去イチでパンフレット購入率が高かったように思います。もちろん自分も購入。