2020年01月22日

シンクロナイズドモンスター

 「レ・ミゼラブル」での熱演で助演女優賞を獲得したアン・ハサウェイが、見るからにしょうもない怪獣映画で、落ちぶれた役をやっている。きっと、悪いプロデューサーに騙されて出演したに違いない。と、思ったらなんとこの映画、アン・ハサウェイが自ら製作総指揮をやっている。なんなの、この人。

 主人公のグロリアは、Webの仕事をクビになったライターで、現在は無職。働かず飲んだくれていたら、彼氏に家から追い出された。田舎に帰って、幼馴染のオスカーと出会い、とりあえず彼のバーで働くことにする。田舎の友達と飲んでだべる、テンションの低いつまらない話だ。
 ところが時を同じくして、韓国のソウルでは大怪獣が出現し、世界的なニュースになっていた。グロリアは、この怪獣の仕草が自分と同じであることに気づく。きっかり朝8時、グロリアが近所の公園に立つと、予想の通り、ソウルに怪獣が現れた。そして、そのことを知ったオスカーが公園に足を踏み入れると、今度は怪獣の隣に巨大ロボットが出現するのだった。

 奇抜な話は興味を引くものの、怪獣のシーンはごくわずか、だいたいは田舎の飲んだくれの映像なので、さえないことこの上ない。酔っぱらいの一挙一動のせいで、ソウルは恐怖に陥れられている。罪悪感に怯えるグロリアと対称的に、オスカーはどんどん自意識を肥大させ、ソウルに被害を出したくなければ俺に従え、とグロリアを脅迫する。
 ここらで、この作品の怪獣が暴力や抑圧のメタファーであることがわかるのだが、だからと言って、グロリアとオスカーだけがこの怪現象を起こせる理由の説明があんな適当とは、開いた口がふさがらない。とはいえ、怪獣ごっこを真剣に演じるアン・ハサウェイなんて、もう二度と見られないので貴重な珍品なのは間違いない。

アイデア 9
盛り上がり 2
邦題 8
個人的総合 3
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2020年01月14日

アナと雪の女王2

●アクション方向に進化
 ディズニープリンセスの価値観を一新して喝采を浴びた前作。その続編となる今回は、調子に乗って(?)冒険活劇に振り切っています。私はもともとアクション映画が好きですので、大いに楽しみましたが、前作の女性ファンにはこんなの受けるんでしょうか? 他人事ながら心配です。氷を使ったエフェクトもさらにパワーアップしており、もはや必殺技と言っていいレベル。XMENとも対等に戦えそうです。
 物語は、舞台を国の外へ広げ、エルサの魔力の秘密へと迫っていきます。4元素の精霊が出てくるなど、ファンタジーRPGのような展開は、ディズニー映画としては新しいかもしれませんが、ゲームやらライトノベルやらに漬かっている日本の観客から見ると陳腐に感じるかもしれません。精霊の中では、サラマンダーが超かわいい。でも意思の疎通が出来ないんですね。「モアナ」の鶏や、「リメンバー・ミー」の黒犬を思わせます。

●オラフ
 観たタイミングが冬休みという事で、映画館にはちびっ子が多数いましたが、オラフの一挙一動に爆笑しており、熱い支持に感心しました。でも、この子らの歳だと、5年以上前となる「1」は劇場では無理ですね。家でDVD等で観たのでしょうね。
 ピエール瀧の不祥事により、吹替声優が変更になっていますが、ちょっとキャラ的には薄くなったかな、という感じです。
 それにしても、観客が前作を観ている前提で作られているのに驚きます。続編物では、時として前作を観ていない観客への配慮があったりしますが、今作は、オラフによるあらすじ説明があるだけ。しかも雑過ぎて誰にも分らないというギャグになっています。

(注:以下にネタバレを含みます)

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2020年01月03日

ジュマンジ/ネクスト・レベル

 年末から人気映画が目白押しなので、早くも上映終了になりそう。急いで観に行った。
 前作が予想外に良かったとはいえ、同じキャストなのでどう作っても二番煎じになりそう、と思っていたらなかなか捻った続編だった。

 大学生になったオタク青年、前回の冒険で射止めた彼女が大学デビューで華やかに過ごしていることに引け目を感じ、連絡を絶ってしまう。そして、ゲーム内でムキムキマッチョとして活躍したことが忘れられず、愚かにも再び「ジュマンジ」へ入ってしまう。彼を助けるため、かつての仲間がゲームに飛び込んでいく。
 ゲーム内キャラは前作の通りだが、中身は別人。彼女は前と同じ美人格闘家になったが、たまたま家にいて巻き込まれてしまった爺さん二人が、ムキムキマッチョのリーダーと動物学者になってしまう。爺さん達はコンピューターゲーム自体を知らないので、状況をさっぱり理解できず、冒険の進行は困難を極める。
 バカバカしいコメディだが、途中で中身が入れ替わるという大ネタがあり、演技ががらりと変わるのは見事。ジャック・ブラックの女子演技は今回も面白い。ジャングルを飛び出し、砂漠にはダチョウの大群、渓谷にはマンドリル、飛行船でのボス戦など、映像面もスケールアップ。これで最後か、と一瞬しんみりさせておいて、さらなる続編での原点回帰を匂わせる結末も悪くない。

 ただ、冒頭のテンポがどうにも悪く、なかなか盛り上がらないのは難点。観ていることが前提なのか、前作の設定がほとんど説明されないまま使われるのも不親切だ。青年の存在感が薄く、事実上お爺ちゃんが主役というのも、賛否が分かれそう。吹替えは、流行り言葉や死語が悪目立ちしていたものの、昔のテレビ放送のような安定感があり、こういう気楽な映画には合っている。ただし、吹替え版だとエンドロールで岡崎体育の歌を聞かされるのが大幅にマイナスである。こういうのいい加減にやめてもらえないものだろうか。

役者演技力 9
老人力 8
主役の薄さ 7
個人的総合 6
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2019年12月24日

珍品堂が勧める2019年の映画ベスト3

 毎年の事ながら、観たい映画が年末年始に集中しますね! 「アナ雪」や「スター・ウォーズ」は、まだまだ上映が続くと思いますので、年が明けてから行こうと思います。

第3位 この世界の(さらにいくつもの)片隅に
 前作に30分ほどの映像を追加した長尺版で、原作により近くなっています。追加シーンのせいで、元のシーンのニュアンスもかなり変わって感じられるようになっており、色々と考えさせられる試みでした。詳しくは、後日レポートしたいと思います。

第2位 バジュランギおじさんと小さな迷子
 いや〜、いい映画でした。おじさんのキャラクターも面白いし、迷子の演技力も神がかっています。何一つ難しいところがない娯楽作ですが、同時に、歴史の問題、宗教の問題に鋭く切り込んでいる意欲作でもある。これだけ真っ直ぐな内容を、恥ずかしがることなく大スケールで作ることができるのが、インド映画の強みでしょう。

第1位 JOKER
 ゴッサムシティは現在のアメリカのような問題を抱え、アーサーの境遇は異様なまでにリアル。もはや、アメコミヒーローの「バットマン」の派生作品という域を超えています。嫌な予感と緊張感が全編にわたって観客に襲いかかり、精神的な消耗もかなりのもの。二度と見たくない名作です。
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2019年12月08日

劇場版コード・ブルー

 ドクターヘリの知名度を飛躍的に向上させた人気ドラマの劇場版。このたび地上波放送となったので観たが、劇場で観なくてよかった、というのが正直な感想。誤解しないでほしいが、出来が悪いからではない。

 まず、エピソードが重すぎる。確かTVドラマでは、華のあるキャストがドクターヘリで颯爽と活躍するのが見どころだったはず。ところが今回、映画ということで人間ドラマを深めたかったのか、余命わずかな花嫁とか、脳死の息子とか、悲劇がてんこ盛りになっている。今まであまり背景が掘り下げられなかった看護師も、アルコール依存の母との関係が深刻過ぎて気が滅入る。さらに、外へ出動すれば、スケールの大きくなった事故現場は緊迫感満点だ。
 こんな内容なので、劇場の環境ではメンタルが厳しそう。TV放送では、CMが入ることによって興が削がれることが多いが、この作品では適度な息抜きになってむしろ見やすいと感じた。

 3期目では、海外の医療ドラマ「ER」のように、メンバーが代替わりしつつ何期も続くのかな、と思ったものだが、劇場版は思いのほかしっかりと完結編になっていた。いい作品なので、大ヒットしたからと言って無理矢理続きを作るようなことはしないでほしい。

懐古度 7
深刻度 9
完結度 9
個人的総合 7
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2019年12月02日

珍品堂が勧める2016〜2018の映画

 振り返ってみると、2017年はやや不作だったのだな、と気づきました。

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2019年11月30日

珍品堂が勧める2013〜2015の映画

 この頃から、映画を観る本数が増えており、色々なジャンルで名作に触れることができました。

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2019年11月27日

珍品堂が勧める2010〜2012の映画

 当ブログでは、年末にゲームやドラマ、そしてコミックのベスト3を選出していました。しかし、最近はマンガを買うことが非常に少なくなってしまいました。よって、コミックのベスト3を廃止します
 代わって、映画を観る本数が増えてきたので、映画のベスト3を始めようと思います。そうなると、昨年までに観た映画ではどうだったのか、気になってきました。幸い〈映画一刀両断〉は前から書いているので、10年ほど遡ってまとめてみます。

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2019年11月05日

イエスタデイ

 同僚にすすめられて観たのだが、こりゃ面白いに決まってるわ。脚本のリチャード・カーティスの持ち味が強く出ている。
 リチャード・カーティスと言えば、かつて「ラブ・アクチュアリー」でラブストーリーの頂点を極めた監督。しかし私は一つの疑惑を抱いた。

 主人公のジャックは、売れないミュージシャン。幼馴染のエリーが献身的にマネージャーをしてくれているのも心苦しく、引退を決意する。その夜、謎の大停電で交通事故に遭ったジャック。退院すると、なぜか誰もビートルズを知らないのだった…
 もう予想がついたと思うが、ビートルズの存在しない世界で、ジャックがビートルズの曲を演奏してヒットを飛ばすことになる。転生もののラノベか、はたまた〈なろう小説〉かという出だしだが、もっとしっくりくるたとえを私は知っている。「ドラえもん」の「もしもボックス」だ。
 思えば、「アバウト・タイム」の、クローゼットにこもって時間を遡るという仕掛けも、引き出しのタイムマシンとどこやら似通っているではないか。リチャード・カーティス、実は「ドラえもん」のファンなのじゃないか

 例によってSF考証はテキトーだが、ビートルズが存在しない世界では、オアシスも存在しない。なるほど。でもローリング・ストーンズは平気というあたりも笑える。エド・シーランが本人役で出ずっぱりというのも面白いところだ。
 「イエスタデイ」は、異世界ものの一種ではあるが、時間は遡らない。つまり、ビートルズの曲が今の時代に売れるか? という問題になってくるのだが、オリジナルに忠実であろうとするジャックに、周囲が難癖をつけるのがまたおかしい。現代の音楽業界に対する風刺が効いている。

 荒唐無稽な設定から始まって、恋愛中心の物語へシフトし、多幸感のある結末へと導くカーティス節は健在。ビートルズにそんなに詳しくなくても大丈夫。「ジョーカー」でやさぐれた心を癒してくれる貴重な一本だ。

ヒロインの可愛さ 9
エド・シーランの好感度 9
主役のショボさ 8
個人的総合 8
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2019年11月03日

ジョーカー

 おさらいのつもりで「ダークナイト」を観てから行ったが、その必要はほとんどなかった。

 稀代の悪役、ジョーカーがいかにして誕生したのか。アメコミでは、科学薬品の溶液に落ちたというエピソードが描かれ、「ダークナイト」では、父親からの虐待によって口を割かれたと語られる。だが、この映画にはそのような劇的な場面はない。
 主人公のアーサーは、母親を介護しながら暮らす貧しい独り身で、コメディアンになる夢があるがその才はなく、発作的に笑ってしまう精神疾患に苦しんでいる。そして、オヤジ狩りに遭ったり、仕事をクビになったり、酔った会社員に因縁をつけられたり、自分の出自を知ったりすることで、どんどん追い詰められていく。
 一つ一つの不幸は、突飛なものではなく、誰の身にも起こりうる事だ。そのリアリティがたまらなく恐ろしい。
 そして、アーサーが一線を越えたとき、ジョーカーの姿で繰り出したとき、信奉者からの喝采を浴びたとき、そこには痛ましさと同時にカタルシスが確実にあった。観客は仮面の群衆の一人と同じ気持ちになっている。
 この映画を「気持ち悪い」「つまらない」と切り捨てる感想は全く正しい。その人はきっと、あちら側に身を置くことの危険さを本能的に察して拒否したのだと思う。

(注:以下に結末を含むネタバレあり)

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posted by Dr.K at 17:14| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする