2019年01月13日

ボヘミアン・ラプソディ

 公開からだいぶ経ったというのに、いまだに劇場は大入り。クイーンの知識がなくても大丈夫、との評判だったので観てきた。

 とにかく時間を取られる映画だ! 帰ってきてまずやったのは、ネットで映像を探すこと。多くの人が言うとおり、クライマックスのライブが素晴らしかったのだが、実際はどうだったのか気になって調べずにいられない。そして、調べるとその再現度に驚嘆する。次に、タイトルになっている「ボヘミアン・ラプソディ」だが、なんとこの曲が一部しか流れない。物語中でユニークな制作過程が描かれているので、気になってフルバージョンを探してしまう。ご丁寧にもYouTubeに公式チャンネルが設けられているので、ばっちり視聴でき、しかも他にも名曲ぞろい。これはファンが増えるわ。ついでに、クイーン特番なども多数アップされているので、映画では描かれなかったあれやこれやまで見始めると時間がいくらあっても足りない。泥沼である。
 一番盛り上がるところで終わるので、非常にポジティブな気持ちになれる映画だが、フレディは避けられない死と背中合わせにあり、陰もまた非常に濃い。その一瞬の輝きが、観客を釘付けにするのだろう。

 最後に余談。今回フレディ役を熱演したラミ・マレックだが、実はゲームに出演していた経歴がある。
untildawn.jpg
 PS4のホラーゲーム「UNTIL DAWN」だ。この不気味なサイコ野郎がフレディ役を射止めるとは、大変な出世物語だ。

エンターテイメント度 8
ライブ再現度 9
クイーンの楽曲 10
個人的総合 8

他の方の注目すべき批評
三角締めでつかまえて:「魁!クロマティ高校」のフレディに爆笑
えすのおと:高校生が書く文じゃない。素晴らしい。
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2018年11月29日

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

 蒔田彩珠を知っているだろうか。子役でデビューして現在16歳の女優だ。テレビの中ではアイドルやタレントが愛想の良い笑顔をふりまいているが、蒔田はちっとも笑わない。あてられるのが大体不機嫌な娘役で、脇でちょっと出るだけでも、その存在感は際立っている。そんな蒔田がメインキャストで映画に出るという。ならば行かねばなるまい。
 そんなわけで、押見修三のマンガが原作という事も知らずに観た。圧倒された。

 物語の主人公は志乃(南沙良)。ひどい吃音で、まともに会話ができないが、なぜか歌だとスムーズに言葉が出せる。一方の佳代(蒔田彩珠)は、ギターが趣味で将来はミュージシャンと考えているが、致命的な音痴。この二人が出会い、文化祭でガールズバンド「しのかよ」としてステージに立とうとする。

(注:以下に結末までのネタバレを含む)

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posted by Dr.K at 20:59| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月25日

バーフバリ 伝説誕生〈完全版〉

 昨年末に公開された「王の凱旋」が、インド人もびっくりの大ヒット。ファンの要望に応えて、6月にはカットなしの「王の凱旋〈完全版〉」を公開。余勢をかって夏には監督の過去作「マガディーラ」まで公開された。そして秋には「王の凱旋IMAX」が登場。とどまるところを知らぬバーフバリ旋風の最後をしめくくるのが、この「伝説誕生〈完全版〉」だ。

●逆順もまた楽し
 「バーフバリ」は、前編「伝説誕生」と後編「王の凱旋」から成る二部作だが、公開時期の都合上、私が観た順番は、

「伝説誕生」→「王の凱旋」→「王の凱旋〈完全版〉」→「伝説誕生〈完全版〉」

となっており、完全版については順序が逆になる。
 ところがこれが予想外に効果的だった。「伝説誕生」の冒頭は、赤子を連れて逃げるシヴァガミのシーンだが、初めて観た時には当然、「これは誰だろう」と思う。しかし、「王の凱旋」を観た後だと、そこに至るまでのシヴァガミを知っているので、この冒頭から伝わる感慨は破格のものがあった。
 また、「王の凱旋」で若いデーヴァセーナを観た後だと、「伝説誕生」の囚われの姿はより一層惨たらしく見え、物語への思い入れが何割増しかになった。
 こんなにリピート効果が高い映画はあまり覚えがない。

●待望の「マノハリ」
 〈完全版〉では、カットされていたミュージカルシーンが復活。「マノハリ」と呼ばれるその場面は、酒場の女を相手にした艶やかな群舞で、映像的には見どころと言える。
 実はストーリー的にも重要で、王国の裏切り者を探すために酒場に潜入するというシーンにあたる。アマレンドラが策を使って酔客の注意をひいている間に、バラーラがターゲットを探すという共同作戦になっているのだ。
 DVDは最初のバージョンなので、このシーンは入っていない。完全版のソフトは発売されるのだろうか? 熱烈なファンがついている作品なので、それなりに売れそうに思うのだが。 

シヴドゥの踊り 6
超巨大バーフバリ像 7
マノハリ 8
個人的総合 9
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2018年10月25日

クワイエット・プレイス

音を立てたら、即死。

 という宣伝コピーがあまりに秀逸。わずかな異音も聞き漏らせない緊張感は、映画館で観てこそ楽しめる。
 荒廃したアメリカの風景、一家を守る髭面の父親、反抗的な娘、そして聴覚が発達し目が見えない敵。ゲーム「LAST OF US」と数々の要素が共通しており、このゲームのファンなら観ておいて損はない。
 世界がどうなっているのか、事件を俯瞰するような描写は一切なく、あくまでこの一家のサバイバルにのみ焦点を絞っているのが良い。限られた舞台で数々のピンチを切り抜けていくのは、ある種ゲームのような感覚がある。映画では描かれなかったあんな場合、こんな場合、この家族はどうやって切り抜けてきたのだろう、と何かと想像が膨らむのは、アイデアに力がある証だろう。
 パンフレットを読んでびっくり。この父親、主演・監督・脚本の三役だったのか、大した才人だ。妻役は本当に監督の妻だったのか、家族でこんな映画を作るなんてすごい。そして、娘役に聴覚障碍者の役者を使っている。声を立てない映画なので、全然気が付かなかった。

 ホラー系の映画は、希望のない終わり方をするものが多い。それだけに、本作の意外性のある結末は賛否がありそうだ。

劇場向け度 10
ホラー度 6
ご都合主義 7
個人的総合 7
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2018年10月21日

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」、2019年に延期

 「この世界の片隅に」がヒットしたことによって、原作から省かれたエピソードを追加した〈長尺版〉を制作することになりました。それが、「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」です。12月の公開を予定し、ティザーサイトも作られていたのですが、


この通り延期となってしまいました。
 クラウドファンディングで資金集めをしていた頃を思えば、何ということはありません。ゆっくり良いものを仕上げてほしいと思います。
 延期の原因は、制作の難航とのことですが、現在、のんが元の事務所と和解するだの決裂しただのとニュースになっており、その影響があるのかないのか気になるところです。のんさんの声あっての作品ですから、こじれないといいのですが。
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2018年09月22日

未来のミライ

 「ペンギン・ハイウェイ」の感想に、「未来のミライ」より面白い、と書こうとして手が止まった。いかんいかん、観ないで決めつけるのはフェアじゃない。そんなわけで、まだ上映している劇場へ行ってきました。ネット上では酷評が目立ちますが、そんなに悪くありません。以下は、なぜこんな作品が出来たかについての憶測となります。

 まずテーマ。家族の絆を描きたい。そのために、子育てに奮闘する夫婦をリアルに描こう。経験者なら共感するだろうし、自分の子供のころを懐かしむ観客もいるだろう。
 「細田君、夏休みの大ヒット作を頼むよ。もっとターゲットを広げてくれないと」
 ならば、4歳のくんちゃんを冒険させよう。そうすれば子供も楽しめるだろう。
 「細田君、それじゃあオタクが喜ばないよ」
 この話、女の子いらないんだけどな。仕方ない、妹が制服姿で未来から来ることにしよう。理由とか考えてないけど。
 「細田君、SF設定はちゃんとしないと」
 じゃあタイムパラドックスを説明しとくか。赤ちゃんと未来のミライちゃんは同時に存在できない…と。(だが、なぜかくんちゃんは未来の自分と対話できている。)
 「福山雅治のために、最高にカッコいい役を頼むよ」
 ご先祖様に会うエピソードを作るか。まずい、これお父さんがかすんじゃうよ。
 「細田君、映像が地味だよ」
 うるせーな。じゃあ東京駅をCGバリバリで描いてやるよ。(怖すぎて、その後のくんちゃんが鉄道嫌いになりそう)
 「うまくいったら、続編頼むよ」
 そんな無茶な。仕方ない、くんちゃんをあまり成長させず、ロードムービー形式にして、エピソードが追加できるようにしておこう。

 山下達郎の爽やかな歌に乗って、夫婦の軌跡が紹介されるエンドロールみたいなオープニング。とてもわくわくしますし、改築された家そのものにドラマが感じられます。この部分こそが、細田監督の本当に描きたかった部分のような気がしてなりません。いっそのこと悪夢の東京駅から出発してあのオープニングに帰着すれば、傑作だったかもしれません。
 気になった点は、くんちゃんに対して、4歳児には理解できない水準の会話が投げかけられることです。そのため、観客に直接言葉が向いているように聞こえ、いつもより説教臭く感じられるのだと思われます。

技術力 9
陳腐度 7
クソガキ度 10
個人的総合 5

他の方の注目すべき批評
machinakaの映画夢日記:大酷評注意。
アニメとスピーカーと…:なるほど「夢十夜」か!
posted by Dr.K at 19:58| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月09日

カメラを止めるな!

 これは困った。面白かったので、ぜひ観てほしいのだが、ネタバレしてはいけないタイプの作品だ。何にも書けねぇ。

 監督も俳優も全くの無名。わずかなミニシアターで公開され、ひっそりと終わるはずが、口コミで人気になり、今では東宝でやっている。こんな成功は聞いたことがない。
 確かに面白かったが、では、誰にでもおすすめできるかというと、それは違う。ゾンビ映画やスプラッター表現が苦手な人は、やはり無理だろう。また、映画をあまり観ない人よりは、映画を観過ぎている人のほうが、この作品の仕掛けは効くように思う。
 ストーリーに触れられないので、パンフレットを誉めてごまかそう。制作の裏話は面白いし、推薦文は熱いし、ストーリーの構造は分かりやすく図解されているし、止めにシナリオが丸ごと載っている。低予算映画とは思えない充実したパンフレットだ。

 作品の知名度が上がったので、今後ありそうな展開が、人気俳優を起用してのリメイクだ。絶対うまくいきっこない。もし作られたら、作中の〈監督〉のように、罵倒してやるつもりだ。

キャスト知名度 1
ホラー度 1
企画性 10
個人的総合 9

他の方の注目すべき批評
忍之閻魔帳:技ありなれど傑作ではない、は言い得て妙。
posted by Dr.K at 19:53| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月23日

ペンギン・ハイウェイ

 とても分かりやすい予告編を流している「未来のミライ」に対し、予告編からわけがわからない「ペンギン・ハイウェイ」。見に行ったら、なかなかの掘り出し物で、満足度が高かった。

 物語は小学4年生のアオヤマ君のナレーションで始まる。「僕は大変頭が良いので」とか、「将来偉くなる」とか、「結婚する相手は決めている」とか、なんとも生意気だ。だが、これこそリアルな子供だと感心した。この年頃の子供は、将来なりたいものになれることを全く疑っておらず、全能感に満ち、目標に対してまっすぐに努力できるのだ。

注:以下にネタバレを含む

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posted by Dr.K at 19:47| Comment(2) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月02日

ジュラシック・ワールド 炎の王国

 予告編を見て、「またいつものパニック映画か」と思っている人も多いだろうが、実際に観るとだいぶ違う。

 前作の事件から3年後。放棄されていた「ジュラシック・ワールド」の島で火山活動が起こり、恐竜を救出するかどうかの議論が起こる。恐竜保護団体を立ち上げていたクレアは、オーウェンとともに島へ向かう…。
 予告編では、クレアたちが、恐竜とともに噴火から逃げ惑うビジュアルが使われている。これは前半の山場で、スケールアップした恐竜パニックを存分に楽しむことができる。だが、いつもの「ジュラシック・パーク」はここまで。物語はまだ半分残っているのだ。

注:以下にネタバレを含む

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posted by Dr.K at 17:42| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月22日

グレイテスト・ショーマン

 2月に公開された映画で、とっくにDVDも発売になっているにも関わらず、いまだに上映している劇場がある。気になったので観に行った。おお、なるほど〜。これはリピーターがつくのも納得だ。

 まず音響。ミュージカル映画なので、楽曲はもちろんメインディッシュだ。しかしながら、家庭では大音響で観るなど不可能。地鳴りがするような迫力あるオープニング曲は、映画館でしか味わえない体験だ。ロングランのせいか、エンドロール後に練習風景が流れたのもお得感があった。
 そして映像。ヒュー・ジャックマンが演じる主人公は、かつて実在した興行師P.T.バーナム。当時の常識にとらわれることなく、フリークスを起用したショーを敢行する。題材的に、後ろ暗い映像になりそうなものだが、この映画ではショーはきらびやかで、演じるフリークスたちもセンスの良い服装で生き生きと踊り、楽しさが画面に充満している。
 物語はバーナムの少年時代から始まる。ところが、貧しい生活から身を起こし、ショーを成功させるまでがあっという間だ。うまく行くかどうかでハラハラさせるつもりがない、ということがわかる。続いて、成り上がったバーナムは、上流階級に認められるべく奔走し、ショーの仲間をないがしろにする。いったん沈むかと思われる部分だが、仲間たちの怒りはミュージカルに昇華し、力強いメッセージ性にテンションはむしろ上がる。最後にバーナムはすべてを失い、本当に大切なものに気付く。しみじみとする間もなく、壮大なショーが印象をすべてさらっていく。
 ミュージカルというと、なんとなく格調が高くて近づきがたいが、この映画はエンターテインメントに徹する。考えさせられる部分が少ないので、評論家筋からの評価は低いようだが、観終わってこれだけ元気を貰える作品は貴重。機会があれば、もう一度劇場で体験したいと思う。

映像美 7
音響 9
癒し効果 10
個人的総合 8
posted by Dr.K at 19:40| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする