2018年08月23日

ペンギン・ハイウェイ

 とても分かりやすい予告編を流している「未来のミライ」に対し、予告編からわけがわからない「ペンギン・ハイウェイ」。見に行ったら、なかなかの掘り出し物で、満足度が高かった。

 物語は小学4年生のアオヤマ君のナレーションで始まる。「僕は大変頭が良いので」とか、「将来偉くなる」とか、「結婚する相手は決めている」とか、なんとも生意気だ。だが、これこそリアルな子供だと感心した。この年頃の子供は、将来なりたいものになれることを全く疑っておらず、全能感に満ち、目標に対してまっすぐに努力できるのだ。

注:以下にネタバレを含む

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2018年08月02日

ジュラシック・ワールド 炎の王国

 予告編を見て、「またいつものパニック映画か」と思っている人も多いだろうが、実際に観るとだいぶ違う。

 前作の事件から3年後。放棄されていた「ジュラシック・ワールド」の島で火山活動が起こり、恐竜を救出するかどうかの議論が起こる。恐竜保護団体を立ち上げていたクレアは、オーウェンとともに島へ向かう…。
 予告編では、クレアたちが、恐竜とともに噴火から逃げ惑うビジュアルが使われている。これは前半の山場で、スケールアップした恐竜パニックを存分に楽しむことができる。だが、いつもの「ジュラシック・パーク」はここまで。物語はまだ半分残っているのだ。

注:以下にネタバレを含む

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2018年07月22日

グレイテスト・ショーマン

 2月に公開された映画で、とっくにDVDも発売になっているにも関わらず、いまだに上映している劇場がある。気になったので観に行った。おお、なるほど〜。これはリピーターがつくのも納得だ。

 まず音響。ミュージカル映画なので、楽曲はもちろんメインディッシュだ。しかしながら、家庭では大音響で観るなど不可能。地鳴りがするような迫力あるオープニング曲は、映画館でしか味わえない体験だ。ロングランのせいか、エンドロール後に練習風景が流れたのもお得感があった。
 そして映像。ヒュー・ジャックマンが演じる主人公は、かつて実在した興行師P.T.バーナム。当時の常識にとらわれることなく、フリークスを起用したショーを敢行する。題材的に、後ろ暗い映像になりそうなものだが、この映画ではショーはきらびやかで、演じるフリークスたちもセンスの良い服装で生き生きと踊り、楽しさが画面に充満している。
 物語はバーナムの少年時代から始まる。ところが、貧しい生活から身を起こし、ショーを成功させるまでがあっという間だ。うまく行くかどうかでハラハラさせるつもりがない、ということがわかる。続いて、成り上がったバーナムは、上流階級に認められるべく奔走し、ショーの仲間をないがしろにする。いったん沈むかと思われる部分だが、仲間たちの怒りはミュージカルに昇華し、力強いメッセージ性にテンションはむしろ上がる。最後にバーナムはすべてを失い、本当に大切なものに気付く。しみじみとする間もなく、壮大なショーが印象をすべてさらっていく。
 ミュージカルというと、なんとなく格調が高くて近づきがたいが、この映画はエンターテインメントに徹する。考えさせられる部分が少ないので、評論家筋からの評価は低いようだが、観終わってこれだけ元気を貰える作品は貴重。機会があれば、もう一度劇場で体験したいと思う。

映像美 7
音響 9
癒し効果 10
個人的総合 8
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2018年07月15日

劇場版ポケットモンスター キミにきめた!

 世代が違うので、「ポケモン」映画は全く観たことがないが、最初のエピソードに遡る作品と聞いたので、テレビ放送を機に視聴。「ドラえもん」映画がリメイク作をスタートさせてからだいぶ経つが、「ポケモン」もついにその域に達したかと感慨深い。

 見た目はいつも通り子供向けだが、親世代へのアピールが凄まじい。ピカチュウとの出会いを振り返った後、オープニングは懐かしい歌、懐かしの名場面の連続となり、オールドユーザーの心を鷲掴みにする。
 ストーリーも非常に工夫が凝らされている。もともとのポケモンはバトルを重ねて頂点を目指す、スポーツマンガに近いストーリー性を持つ。しかし、「キミにきめた!」は、ホウオウを目指す旅と、その過程での主人公の成長を主題とした。その結果、ゲーム内のバトルの再現に期待した観客には物足りないものになったかもしれないが、映画としてはこれ以上ない王道の物語となった。少年たちの旅路は、「スタンド・バイ・ミー」のような名作の貫禄さえまとっている。
 個人的に面白かったのが、主人公が夢の中でピカチュウの存在を忘れてしまう場面。ポケモンの存在しない世界は、我々の住む普通の世界のようだ。たまたまポケモンの世界だったから、彼らはヒーローになったが、普通の世界であれば普通の少年だった。そんなことを感じさせる演出だった。
 新しいポケモンの名前や、新しいゲームのストーリーを知らない人でも楽しめる、普遍性の高い映画だ。

オープニング 9
エンディング 8
ロケット団 3
個人的総合 7
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2018年07月07日

ファインディング・ドリー

 いつもは巧みに吹替えられているディズニー映画だが、これはのっけから失敗。

「あたしはドリー、なんでもすぐ忘れちゃうの」

 単に頭が悪いだけ? そうじゃない。英語だとちゃんと短期記憶障害と言っている。ここが伝わっていないと、物語の全体が、単なるドタバタ・スラップスティック・ギャグで終わってしまうことになる。
 いつもながら素晴らしい映像だ。海の中の景色は多彩で美しく、タコはCGであることを忘れさせる動きを見せ、地獄のような演出を施されたタッチプールには特に笑えた。
 しかしながら、ストーリーには難がある。今回は、水族館が主な舞台。ドリーは両親を探して、施設の中へ突入する。「ファインディング・ニモ」で、ニモが水槽に囚われてしまった時の危機感は大変なものがあった。ところが、「ドリー」では、タコやら鳥やらが移動手段として万能なため、水族館でも大した危機感なく縦横に冒険できてしまう。短期記憶障害というハンデを個性と認め、「偶然を大切に、直感的に生きよ」というのが本作のテーマ。しかし、それをストーリーに落とし込むとご都合主義と見分けがつかない。他の会社が作った映画ならともかく、ガチガチに計算ずくのストーリーが持ち味のディズニーがそれをやると違和感が大きい。色々と腑に落ちないまま感動の場面を見せられ、大団円を迎えてしまった。
 夢があるのと荒唐無稽との境界は際どい。

映像美 9
超能力 8
超展開 8
個人的総合 5

〈他の方の真っ当なドリー評〉

posted by Dr.K at 22:11| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

「万引き家族」公開の日に

 映画「万引き家族」は、「歩いても歩いても」「海街diary」などを手掛けた是枝裕和監督の新作。先日、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した話題の一本である。


 解説はリンクを見ていただくとして、この映画が本日ついに公開となった。楽しみである。ところが、帰宅してニュースを見て驚いた。


 いやいやいや、タイミング良すぎるでしょ。一瞬映画のプロモーションかと思ったわ。
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2018年05月24日

レディ・プレイヤー 1

 面白いはずなのに、終わってみれば、自分でも不思議なくらい他人事だった。どうしてのれなかったのだろう。

●生ぬるいディストピア
 近未来、人々は荒廃したスラムに暮らし、VRゲーム「オアシス」が最大の娯楽だった。
 ジャンルで言うと、ディストピアSFの一種ということになる。しかしこの未来には危機感が足りない。スラム暮らしにも関わらず、人々は高価そうなVR機器を持ってゲームに興じている。ゲームを題材にした作品にありがちな、「ゲーム内で死んだら現実でも死ぬ」というような設定もない。
 唯一、悪を体現しているのがIOI社による強制労働だが、ゲームでの滞納をゲーム内労働で返済させるというのはある意味グッドアイデアで、悪辣さが足りない。
 「マイノリティ・リポート」や「A.I.」の危機感は凄かった。これらを生み出したスピルバーグ監督なら、もっと突き抜けてほしかったところだ。

●いけてないキャラクター
 「オアシス」内はすべてCG映像で表現される。アバターという形で、他の作品のキャラがそこかしこに出演。大勢のキャラが入り乱れる戦闘シーンなどは大迫力で見ごたえがある。
 しかし、いかんせん主人公とヒロインがいけてない。ディズニーのCGよりぐっとリアル寄りで、アメコミ臭の強いデザインに馴染めなかった。オッサンや爺さんのデザインは平気なのにおかしいなあ。

注:以下にネタバレを含む

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posted by Dr.K at 23:50| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

 予告編がイマイチで、期待せずに観たら実は良かった。
 元の「ジュマンジ」は、すごろくのイベントが実体化する奇想天外な話で、私もかなり好きだった映画。それが今回は、ビデオゲームの世界に入る話になるらしい。時代には合ってるけど、なんだかよくある感じの話だ。どうせ雑なリブートなんだろうな、と思っていたら…

 驚いたことに、冒頭が「ジュマンジ」のラストシーンから直結していたので、あわてて姿勢を正した。正統な続編として作りますよ、というメッセージだ。それがどうしてビデオゲームになるのか、顛末がやたら面白いのでぜひ実際に観てほしい。
 今回、ゲームの世界に取り込まれるのは高校生4人。オタク男子はムキムキマッチョのリーダーに。ガリ勉女子は美人格闘家に。ラグビー部の男は荷物係件動物学者に。とどめにインスタギャルはデブ親父の地図担当に変身する。現実とは美醜が逆転しており、これだけでももう面白い。その上、役者の演技が素晴らしく、マッチョの中身が気弱なオタクとちゃんと伝わるし、デブ親父のジャック・ブラックが女子高生を表現しきっているのには脱帽だ。
 ゲームネタの使い方もうまく、決まったセリフを繰り返すNPC、強引に挿入されるデモシーン、意味不明なスキル、無双バトル、ありがちなトラップなどを実写化。ツッコミどころが満載だが、アタリみたいなレトロなゲーム機だからこそ、こういう楽しみ方ができるのだな。最新のゲームだったらもっとリアルなのでこうはならない。そして、ライフが3つあることを生かした脚本も巧みだ。

 バカ映画として大いに笑うだけでもよいのだが、4人がチームワークを発揮し始める頃には、若者の成長物語としてちゃんといい話になっている。おまけに少し切ないエピローグは旧作譲りだ。あれ、もしかしてこれって傑作じゃね?
 吹替えも、90年代の映画をテレビで観ているような感覚が味わえてなかなか良かった。流行り言葉が若干耳障りではあったが。

旧作リスペクト 10
役者演技力 9
後味の良さ 9
個人的総合 8
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2018年05月03日

パシフィック・リム アップライジング

 スクリーンいっぱいに展開するバトルは迫力満点で、ロボットVS怪獣の新作としては悪くない。しかし、前作のファンにとっては釈然としない続編だ。

 以下、ネタバレと文句ばかりなので注意!

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posted by Dr.K at 17:05| Comment(0) | 映画一刀両断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月29日

リメンバー・ミー

 事前の期待値はそれほどでもなかったが、やっぱり面白い、作り方がうますぎる。
 いつもながら導入がうまい。今回の舞台はメキシコのお祭り「死者の日」。その飾りである切り紙を使って、さらっと背景説明を済ませてしまう。
 そして題材の扱いがうまい。お祭りをきっかけに、主人公のミゲルが迷い込むのは死後の世界。暗くなったり恐くなったりしそうな題材だが、死者の国では生者より派手に祭りを祝っており、陰気さなどどこにもない。また、死者はすべてガイコツ姿だが、嫌悪感が出ないように巧みにデザインされていて見事だ。
 歌の使い方がうまい。邦題にもなっている「リメンバー・ミー」が、作中では何度か演奏される。同じ歌なのに、演奏のたびに鮮やかにニュアンスが変わる。もちろんこの映画のための新曲なのだが、まるで昔からある名曲のように、多様な表現を受け入れているのがすごい。そういう意味では、日本オリジナルのエンドロール演奏もありかも知れない。
 次に、仕掛けがうまい。ぼけたひいおばあさん、破れた写真、死者の国までついてくるのら犬、すべての伏線には意外性のある答えが用意され、納得感がある。のら犬はなんだかクレイジーでかわいくないが、「モアナと伝説の海」のペットもわけわからん奴だったので、今はこういうのが流行っているのだろうか。
 最後に、まとめ方がうまい。ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、一族はご先祖イメルダの教えを守って音楽を禁じている。ここで、猛烈に厳しいおばあちゃんに拒否反応を起こしている感想をいくつか見たが、多分若い人なのだろう。大家族が残っていた昭和の日本だって似たようなものだったのだ。閑話休題。ミゲルは夢をとるか家族をとるかの選択を迫られる。これまでに、あまたのストーリーがこの選択を題材にしてきたが、多くの場合どちらかを捨てねばならなかった。この難題に対して、本作が出した答えはうまいと感心した。
 ただ、ハッピーエンドを貫きたいのはわかるが、悪役を現世でまで貶めるのは、やり過ぎと感じた。ヘクターは別に名声を求めてはいない。家族に受け入れられるだけで十分じゃないか。

映像美 8
吹替え 8
異国情緒 9
個人的総合 9
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