2020年03月24日

「映像研には手を出すな!」第12話 芝浜UFO大戦!

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 トラブルを乗り越えて完成した「芝浜UFO大戦」は、即売会で完売。「まだまだ改善の余地ばかりだ」と、浅草は新作の構想にとりかかる。

 最終回の後半を、「芝浜UFO大戦」のお披露目にあてるという思い切った構成。原作から逸脱し、作中作が予想外の出来となったことで、賛否が起こっている。自分が、これを「良い」と思える側であることを幸せに思う。
 出来たものが素晴らしかった、と伝えるだけならこんなに中身を見せる必要はない。感心している視聴者の反応を混ぜれば十分だ。だが、そんな平凡なサクセスストーリーは〈映像研〉には要らない。湯浅監督は、あえて中身を見せることで、私たちをDVDの購入者と同じ立場にしてみせた。
 「芝浜UFO大戦」は、一言で言うとなんだかよくわからないすげえアニメだ。先週までに積み上げられた、浅草の込み入った設定、水崎のこだわった動画が見事に形になっている。反面、ストーリーははっきり伝わらず、ご当地アニメとしても機能していない。このことが賛否を呼んでいるわけだが、否定する側の人は、既存の平凡なものに毒され過ぎてはいないか。わかりやすいストーリーや、ちゃんと宣伝になるご当地アニメなんて、プロがいくらでも作ってるだろう。〈映像研〉の連中はそんなものを作らない。アマチュアとして自分たちの情熱を優先して作った結果がこれなのだ。
 …という大義で、普通のアニメではめったに見られない動きを盛り込んでくる湯浅監督はなかなかしたたかだ。刺激を受けているアニメーターも多いんじゃないか。
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2020年03月06日

アサイ「木根さんの1人でキネマ」7巻

kinesan7.jpg いかん。これはいかんですよ。
 最初の話からネタ切れ感全開じゃないですか。過去のエピソードを蒸し返し出したら、連載ももう終盤ですよ。次の話もいかんですよ。キャラクターを集めてわいわいやり出して。これのどこが「1人でキネマ」なんですか。
 などと文句を言っていたら、最後に「ゴジラ」が控えていました。久しぶりの傑作です。木根さんは映画を語らなければなりませんが、やはり映画館も語らないといけない。半生をかけた話がコンパクトにまとまっています。
 そろそろ連載終了かと思いましたが、まだ気が早かったようです。よかろう、続けたまえ(何様)
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2020年02月29日

「映像研には手を出すな!」第8話 大芝浜祭!

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 ついに文化祭当日、ロボットアニメお披露目の時が来た。その会場へ、娘がアニメに関わることに反対した、水崎の両親が現れる。

 もうこれ最終回でいいんじゃね? というくらいの盛り上がり。
 なぜロボットアニメなのか? ロボ研からの依頼で作られたプロモーション映像だからだ。なぜこのストーリーなのか? 浅草が考えてこうなったからだ。水崎の担当はあくまで動画、彼女の嗜好はあまり反映されない作品だ。
 しかし、出来上がったアニメには彼女が色濃く出ていた。水崎の両親は、箸の持ち方に、お茶のカットに、走り方に、娘の仕事を感じ取った。動画のこだわりは、誰かに必ず伝わる。作り手として脚光を浴びることが少ないアニメーターに対しての、優しい視線を感じるストーリーだった。

 「映像研」は、ご存知の通りマンガからのアニメ化である。しかし、今回の前半、生徒会とロボ研の追いかけっこは、「夜は短し歩けよ乙女」のゲリラ演劇とそっくりで、湯浅監督の好みがもろに出ていた。作中作のロボットアニメでは、水崎がこだわったが、「映像研」のアニメ化については湯浅監督が自分色に染める。なんともかっこいい入れ子構造だ。
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2020年02月23日

「映像研には手を出すな!」第7話 私は私を救うんだ!

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 文化祭に向けて、ロボ研の依頼でアニメを作ることになった映像研。音響部や美術部も参加し、大プロジェクトならではのごたごたが巻き起こる。

 このエピソードでは、動画担当の水崎が掘り下げられる。俳優一家に育ったお嬢様が、なぜアニメを志すようになったのか?
 監督の浅草については、第1話の冒頭で幼少時が描かれ、創作の動機が明確になっていた。ところが、水崎については、技術もあり、面白がってついてきてくれてはいるものの、内なる動機がここまで不明だった。
 浅草の過去は、典型的なアニメファンのものだったが、水崎の過去はそうではなかった。誰かの作ったものではなく、実物の動きをいつも観察してきたというエピソードは、一歩間違うとアニメ志望者への説教となりかねない。しかし、このアニメでは、実物とされるものもアニメで描かれているわけで、高品質な映像を見せないと説得力の全くないストーリーになってしまう。クライマックスのロケット発射シーンには、プロの意地が詰まっていた。

 聞くところによると、水崎の過去は、原作にはないアニメだけのエピソードだそうだ。素晴らしい。これでこそアニメ化した価値があるというものだ。
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2020年02月06日

「映像研には手を出すな!」第4話 そのマチェットを強く握れ!

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 映像研の面々は、予算審議委員会に向けてショートアニメを作る。

 結果、出来上がったものは高校生が作るには上手すぎる。また、上映中に観客が飲まれるという演出は、映像の面白さに振り切り、現実離れの度合いが強くなっていた。
 しかし一方、その制作過程は極めて地に足が付いていてリアル。手間を省き、スケジュールに間に合わせるためのテクニックが、具体的かつ詳細に並べられており、アニメの専門学校ならそのまま授業に使えそうな内容だった。よく見ると本編のそこかしこでうまいこと手を抜いているぞ(笑)
 浅草の発想、水崎の画力がすごいのは言うまでもないが、ちょっとでも仕事をかじった身からすると、金森のプロジェクト管理こそ超高校級。そりゃ「人生何周目だ」という感想も出てくるわけである。

 原作はマンガなので、彼女たちの成果が本当に動いて見えるこのアニメは、ファンにとってはたまらんのだろうな。
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2020年02月01日

「映像研には手を出すな!」第1話 最強の世界!

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 1月に開始するや話題をさらっているこのアニメ、私と同じように見逃してしまったそこの貴方。今からでも遅くない。明日の午後にここまでの回を一挙再放送してくれる。ありがてえありがてえ。

 オタクをメインに据えた物語といえば、過去には「げんしけん」や「アオイホノオ」があった。それらは、キャラクターの変人ぶりを誇張しており、ある種の自虐のようなところがあった。
 しかし、「映像研」はちょっと違う。主演の三人は相当な変人だが、ことさらはぐれ者には描かれず、物語は彼女らのクリエイトの方に焦点を向けている。想像の世界が工夫を凝らしたタッチで映像化され、見ごたえたっぷり。彼女らは誰にも笑われず、痛快に市民権を獲りに行く。時代が変わったことを実感する一本だ。
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2020年01月07日

永野護「ファイブスター物語」15巻

fss15.jpg 驚いた。このマンガの場合、2年以内に新刊が出るなんて順調すぎる。

 とはいえ、ストーリーはちっとも順調じゃないんだよねえ。キャラクターは増える一方、横に広がるばかりで一向に前には進まぬ。おまけに描き分けができないタイプの作家なので、誰が誰やらさっぱりになることも珍しくない。
 これまで、影として扱われてきた魔法帝国が表立って動き、長らく活躍のなかったドラゴンが描かれ始めたのが新しい傾向? 人知を超えた力の激突によって、宇宙が滅びてしまえばいつでも最終回にできる備え、と見るのは意地悪に過ぎるだろうか。
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2019年10月22日

ドラマを見て「左ききのエレン」を思い出す

hke1.jpg 朝日新聞の見開きを占拠したマンガに度肝を抜かれ、その日から放送開始したドラマを視聴。

 おかしい。初めて観るのに、このストーリー知ってるぞ。
 ようやく思い出した。これ、以前ウェブ掲載で話題になっていたマンガだ。最初しか読んでいなかったので、その後リメイクされて有名になっていたとは知らんかった。新聞にまで載るとは、大した出世ぶりだ。
 ドラマは、主役の光一の演技が正直拙いのだが、青臭いストーリーとマッチして味になっている。
 一方、難しいのが天才であるエレンの表現。池田エライザの雰囲気はなかなかのものなのだが、肝心のグラフィティが凡庸すぎる。マンガでは、特にオリジナル版の画力が低く、読者の想像によってエレンの芸術の天才性が伝わる仕組みになっていた。それが実写になってしまうと、想像の余地がなく、見た通りにしか伝わらない。これは広告デザインについても同じで、本当に良いものを見せないと、物語に説得力がなくなってしまう。
 果たして、ドラマはこの難題を乗り越えることができるのだろうか。
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2019年07月31日

岩明均「ヒストリエ」11巻

historie11.jpg 実に2年ぶりの新刊である。
 室井大資に作画を任せた「レイリ」は、テンポよく6巻にわたる物語を完結させたというのに、一人で描いてる「ヒストリエ」の方はこのペース。全然終わりそうにないが、ここまで来たらつきあうしかない。

 何しろ2年ぶりなので、直前の物語を覚えているかどうかが疑わしかったのだが、この巻では、パウサニアスという新キャラが話の中心となっており、大丈夫だった。エウメネスとどう関わってくるのか楽しみだが、それがわかるのは少なくとも2年後になる。鍵を握るのはオリュンピアスだと思われるが、このお妃がまたなかなかの人物で、今後も暗躍しそうなのだが、それがわかるのも2年後。たまらん。
 他で味わえない面白さをキープしているのは認めるが、なんとか休載を減らしていただけないものだろうか。
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2019年07月05日

「進撃の巨人」59 壁の向こう側

 わずか10話とは思えない密度。怒涛の展開でついに海まで来た。ここまでをアニメ化できると想像した人がどれだけいただろうか。

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 原作では、シリアスなストーリーの最中に唐突にギャグが挟まれ、奇妙な味になっていた。エレンの操る巨人の名が明らかになり、直後に茶化されてしまうというこのギャグが、アニメでもそのまま再現されるとは思わなかった。

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 そして、調査兵団がついに海へ着く、感動のラストシーン。なぜかハンジはナマコをつかんでおり、笑いを誘う。これも実は原作通りの場面だ。

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 今クールの挿話はどこをとってもクライマックスであり、一話たりとも手を抜いていない素晴らしい出来であった。番組の最後に、ファイナルシーズンの告知も出たので、原作もそろそろ完結という事なのだろう。アニメ版は話を分かりやすく整理してくれるところがあり、大いに期待している。
posted by Dr.K at 20:39| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする