2020年09月18日

「未来少年コナン」19 大津波

 子供の頃この番組を見て、モンスリーの劇的な変化に驚いた。この回が転換点だったのだな。

 コナンにガンボートを沈められ、インダストリアの兵たちは意気消沈している。モンスリーは司令官として兵たちを鼓舞し、有能ぶりを印象付ける。
 庭で犬を見つけたことをきっかけに、モンスリーは幼少時を思い出す。
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回想でのクララのようなお嬢様ビジュアルにびっくり。
 いつの間にかうとうとしていたモンスリー。目を覚ますとコナンがいた。モンスリーは、コナンがガンボートからラナを救出したか尋ね、それから銃を向ける。彼なら助けるに違いない、という確信が感じられる表情だ。
 コナンが大津波を知らせようとしたときも、その態度を見てモンスリーは信じた。敵同士でありながら、いつの間にか信頼が生まれていたのだ。モンスリーが味方につくのはもう少し先の話だが、ちゃんと準備段階が描かれていて見事だ。
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2020年08月30日

「未来少年コナン」17 戦闘

 コナンたちが暮らすハイハーバーに、ついにインダストリアの軍勢が現れる。

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 13話からのハイハーバー編は、子供の頃面白くないと感じていた部分だ。それまで、戦ったり逃げたりのアクションを繰り広げていたのが、ハイハーバー到着以降、インダストリアの脅威をひと時忘れ、平和で静かな内容に変化する。
 ハイハーバーは、農業や漁業によって復興した島。人のほとんどいない環境でサバイバルしてきたコナンやジムシィは、この島で初めて社会を知り、働くという事を学ぶ。今見ると、彼らの成長にとって必要なエピソードとわかるのだが、子供の頃は、ヒーローだった彼らが常識に囚われてしまったように見えて寂しかったのだろう。
 島の住人の中で、オーロをはじめとする数人の青年が、共産主義的なルールを嫌い、無法な生活を送っている。コナンくらいの少年は純粋だが、青年はグレているというあたり、当時の日本のような感じで妙なリアリティがある。

 コナンとオーロの小さな対立をあざ笑うかのように、インダストリアの襲撃。待ってました! ここからは毎週わくわくして見ていたものだ。
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2020年08月22日

研究のはずがまるでオカルト 「ぱいどん」

aitezuka.jpg 「ぱいどん」は、手塚治虫の作風を学習させたAIによる実験的マンガ作品。新聞などで研究は話題になっていたが、このたび書籍になったので読んでみた。

 本編は50ページに満たない。しかし、AIをどう活用してできたのか、というレポートが興味深い。
 例えば、キャラを作るにあたって、AIに手塚作品の大量の「顔」を学習させたところ、人間の顔に見える絵は生成できなかった。マンガのキャラは個性的過ぎて、正しく顔として認識できなかったらしい。そこで、実写の「顔」を追加で学習させると、キャラらしきものが出来たという。漫画家も、実在の人物などを参考に、キャラを描いているわけで、結局同じステップになってしまうところが面白い。
 そして、ストーリーについては、手塚作品を学習させたAIによって、プロットを生成している。ただ、あくまで断片的な設定やプロットなので、この作品の出来は、担当した漫画家の力によるところが大きい。AIのプロットは多数生成されたが、手塚眞のアドバイスで、意外性があり斬新なものが選ばれたらしい。制作担当者の苦労がしのばれる。

 ここで思い出すのが、「ノストラダムスの大予言」。予言自体は抽象的な言葉でしか書かれておらず、他の預言者やオカルト研究者によって、様々な解釈が成された。今回のAIも、お告げのようなものとは言えないか。最先端の研究がオカルトじみた結果を生んだとしたら、いかにも手塚治虫にはふさわしい。

 手塚がAIを扱った短編ということで、「サスピション ハエたたき」が併録されているが、デジカメも存在しない時代に「顔認証」の概念を使っているあたり、これはもう本物の預言者と言っていい。

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2020年08月03日

「西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章」1巻

sydshks1.jpg いつの間に連載が再開していたのか。実に5年ぶりの続編刊行である

 本屋でこれを手に取り、しばらく悩んだ。これは新作か? それとも再編集か? 読んでみると、「西域篇」6巻からちゃんと続いており安心した。新たな敵として、「西遊記」の中でも有名な牛魔王がついに登場。既存のイメージを覆すもの悲しい様子で、非常に気になる。きっとオリジナリティのある展開が待っているのだろうが、それについては、次巻以降の話となる。
 それにしても、わざわざ装丁を変えて1巻から数えなおすのはなぜだろう。
 ここで連想したのが、ゲーム会社の日本ファルコム。「ドラゴンスレイヤー」シリーズの一作だった「英雄伝説」が、いつの間にか「英雄伝説」シリーズになり、「英雄伝説」の一作だった「軌跡」が、いつの間にか「軌跡」シリーズになった。
 これもそんなようなものなのだろうか。いや、違うか。
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2020年07月19日

「未来少年コナン」11 脱出

 サルベージ船から逃げたコナンたちは、隠してあったフライングマシーンを起動。ジムシィたちを救出するべく、インダストリアへと向かう。

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 どんな原理で浮いてるんだ、フライングマシーン。子供のころ、一番乗ってみたかった乗り物だ。スピードもないし、高く飛べないし、武器もない。でも、なんだかとっても楽しそうな浮遊感に虜になった。この時点で、後にジブリファンになるように刷り込まれていたのだな。ストーリー上では、故障していて本来の力が発揮できていない、という設定があるのだが、そんなことはどうでもよくなる。起動シーンで、なかなか飛べないのがかわいいやらいじらしいやら。
 「映像研には手を出すな!」の冒頭で、この場面が引用されたのだが、さすがわかってる、と感心したものだ。
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2020年06月24日

「未来少年コナン」08 逃亡

 コナンとラナは、バラクーダ号の上陸艇を奪って逃げる。しかし、レプカのガンボートから攻撃され、海に沈んでしまう。

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 身動きの取れないコナンに、ラナが口移しで空気を与える。忘れられない名場面だ。子供の頃は、キスシーンだ! という驚きがすべてだったが、今見ると、その前後のいかにも水中という動きが素晴らしい。ジブリが頭角を現す前触れがここに。
 陸にたどり着き、コナンがラナとの出会いを再現して見せるくだりにも感心する。子供アニメらしからぬ粋な演出だ。

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 でも、子供にとっては、コナンの怪力をもってしても一滴しか水が出ない、この果物の方が印象に残るんだけどね。細かいところまで遊び心があって全く退屈しない。お見事。
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2020年06月11日

「未来少年コナン」06 ダイスの反乱

 コナンはラナを連れて三角塔を飛び降りる。

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 何十年経っても鮮烈に憶えているのがこのシーン。高層ビル並みの高さを飛んで、見事着地する。人間離れしたアクションの反面、足からビリビリとしびれる妙なリアルさがあって、子供の想像力に訴えかける。
 逃亡中、コナンはギガントの格納庫にたどり着く。物語の終盤で登場する最終兵器が、早くも顔見せ。動いていなくても素晴らしいデザインだ。
 コナンとラナは捕まり、レプカに尋問される。一方ダイスは反乱を企て、ラナを奪って逃げる。一見統制のとれているように見えるインダストリアの面々が、全然一枚岩でないのが面白い。レプカは少しでも早く太陽エネルギーを獲得したい。モンスリーはコナンを仕込んで兵士にでもしようというのか。そしてダイスは、海の男としての自由を求めてラナを人質にとる。それぞれに人間臭いところがあって今後が楽しみになってくる。
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2020年06月03日

「未来少年コナン」05 インダストリア

 インダストリアに着いたコナンは、囚われているラナを発見する。

 ここまでたった5話。まじか。
 見た瞬間に伝わる不穏な空気がたまらない。何しろ私にとって、人生初のディストピア体験となったのが、この「コナン」のインダストリアと、「地球へ…」のアタラクシアなのだ。

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 一方、モンスリーは、場違いなほど少女趣味の恰好で登場。制服とのギャップが凄い。そして、この姿でなおも冷徹な悪役というところが最高でしびれる。宮崎駿はナチュラルにオタクを煽るから困る。そりゃダイス船長も惚れるわけである。
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2020年05月22日

「未来少年コナン」03 はじめての仲間

 コナンは海を越え、別の島を見つける。そこは無人かと思われたが…

 ジムシィとの出会いが描かれる第3話、40年以上たってもその個性は際立つ。今まで、コナンの野生児ぶりをこれでもかと見せられてきたが、ようやく出会った新キャラが、まさかもっと野生児とは。一人で生き抜いてきた人生観も独特で、本当に驚かされる。
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 そしてこの競走である。謎の並走アクションは、幼少時の私にとって大変なインパクトがあった。これぞ宮崎駿の原点にして真骨頂。あまりに印象深いため、ファンの間で〈コナン走り〉と呼ばれるようになった。

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 「カリオストロの城」の冒頭で、その走りがまんま継承されている。よほどお気に入りのアクションだったに違いない。
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2020年05月14日

「未来少年コナン」02 旅立ち

 おじいが亡くなり、コナンは〈のこされ島〉から旅立つ。

 今見るとますます名作だ。というより、子供の頃はアクションしか見てなかったことがよくわかった。ファルコの翼に足でつかまるシーンは、今でも笑える。
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そしてこの場面だ。子供のころ、大きな岩が持ち上がってすげえ、と驚いた場面だが、実は違う意味があった。
 おじいが死に、悲しんだコナンは岩を投げまくる。しばらく後に、おじいの墓標が出てくるのだが、これが石積みであることに気が付いた。コナンは、岩を砕いて墓を建てたのだ。岸壁の上には、いくつもの墓標が並んでいる。おじいより先に死んだ帰還者たちだ。コナンは、おじいが仲間を弔う姿を見続けていて、同じ行動をとったのだろう。そして、旅立つコナンを、朝日を背負った墓標が見送る。こんな神々しいシーンを見落としていたとは、子供(私)の目は節穴である。
 そして、子供の頃大好きだったダイス船長の登場に、今も変わらずわくわくしているのだ。
posted by Dr.K at 20:19| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする