2020年01月07日

永野護「ファイブスター物語」15巻

fss15.jpg 驚いた。このマンガの場合、2年以内に新刊が出るなんて順調すぎる。

 とはいえ、ストーリーはちっとも順調じゃないんだよねえ。キャラクターは増える一方、横に広がるばかりで一向に前には進まぬ。おまけに描き分けができないタイプの作家なので、誰が誰やらさっぱりになることも珍しくない。
 これまで、影として扱われてきた魔法帝国が表立って動き、長らく活躍のなかったドラゴンが描かれ始めたのが新しい傾向? 人知を超えた力の激突によって、宇宙が滅びてしまえばいつでも最終回にできる備え、と見るのは意地悪に過ぎるだろうか。
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2019年10月22日

ドラマを見て「左ききのエレン」を思い出す

hke1.jpg 朝日新聞の見開きを占拠したマンガに度肝を抜かれ、その日から放送開始したドラマを視聴。

 おかしい。初めて観るのに、このストーリー知ってるぞ。
 ようやく思い出した。これ、以前ウェブ掲載で話題になっていたマンガだ。最初しか読んでいなかったので、その後リメイクされて有名になっていたとは知らんかった。新聞にまで載るとは、大した出世ぶりだ。
 ドラマは、主役の光一の演技が正直拙いのだが、青臭いストーリーとマッチして味になっている。
 一方、難しいのが天才であるエレンの表現。池田エライザの雰囲気はなかなかのものなのだが、肝心のグラフィティが凡庸すぎる。マンガでは、特にオリジナル版の画力が低く、読者の想像によってエレンの芸術の天才性が伝わる仕組みになっていた。それが実写になってしまうと、想像の余地がなく、見た通りにしか伝わらない。これは広告デザインについても同じで、本当に良いものを見せないと、物語に説得力がなくなってしまう。
 果たして、ドラマはこの難題を乗り越えることができるのだろうか。
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2019年07月31日

岩明均「ヒストリエ」11巻

historie11.jpg 実に2年ぶりの新刊である。
 室井大資に作画を任せた「レイリ」は、テンポよく6巻にわたる物語を完結させたというのに、一人で描いてる「ヒストリエ」の方はこのペース。全然終わりそうにないが、ここまで来たらつきあうしかない。

 何しろ2年ぶりなので、直前の物語を覚えているかどうかが疑わしかったのだが、この巻では、パウサニアスという新キャラが話の中心となっており、大丈夫だった。エウメネスとどう関わってくるのか楽しみだが、それがわかるのは少なくとも2年後になる。鍵を握るのはオリュンピアスだと思われるが、このお妃がまたなかなかの人物で、今後も暗躍しそうなのだが、それがわかるのも2年後。たまらん。
 他で味わえない面白さをキープしているのは認めるが、なんとか休載を減らしていただけないものだろうか。
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2019年07月05日

「進撃の巨人」59 壁の向こう側

 わずか10話とは思えない密度。怒涛の展開でついに海まで来た。ここまでをアニメ化できると想像した人がどれだけいただろうか。

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 原作では、シリアスなストーリーの最中に唐突にギャグが挟まれ、奇妙な味になっていた。エレンの操る巨人の名が明らかになり、直後に茶化されてしまうというこのギャグが、アニメでもそのまま再現されるとは思わなかった。

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 そして、調査兵団がついに海へ着く、感動のラストシーン。なぜかハンジはナマコをつかんでおり、笑いを誘う。これも実は原作通りの場面だ。

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 今クールの挿話はどこをとってもクライマックスであり、一話たりとも手を抜いていない素晴らしい出来であった。番組の最後に、ファイナルシーズンの告知も出たので、原作もそろそろ完結という事なのだろう。アニメ版は話を分かりやすく整理してくれるところがあり、大いに期待している。
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2019年06月29日

「どろろ」第二十四話 どろろと百鬼丸

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 最終回。ここまで苛烈な戦いに身を投じてきた百鬼丸だが、思ったより希望のある結末にほっと気が抜けた。

 これを機会に、歴代「どろろ」のラスボスを振り返ってみよう。
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posted by Dr.K at 12:43| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月08日

「どろろ」第十九話 天邪鬼の巻

 突然のコメディ展開に目を白黒。原作にはないオリジナルエピソードである。

 ところがところが、こんな話に限って手塚っぽい演出が多用されていた。
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 この回限りの登場となるおこわ。いかにも今どきのアニメ、といった感じの娘なのだが、ひょっとこの説明をするこの顔は、ピノ子直伝のアッチョンブリケ。

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 百鬼丸は旅をやめておこわと結婚するなどと言い出す。大ショックのどろろの周りには、ヒョウタンツギやらオムカエデゴンスやらが飛び交う。

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 ついには怒りのあまり自らがヒョウタンツギと化す。
 ネットでは、なんか変なキャラなどと言われていたが、手塚ファンでもない若者ならそういう反応でもいたしかたない。令和になってこれらのキャラを見られるとは思わなかったなあ。

 現在、物語はクライマックスへ向けて重苦しい展開が続いており、この時の息抜きは貴重だったのだな、と実感しているところだ。
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2019年05月18日

「どろろ」第十六話 しらぬいの巻・第十八話 無常岬の巻

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 お待ちかね、しらぬいの登場だ。50年前のアニメでは、この話は含まれなかったため、なんと初の映像化となる。原作をうまくアレンジした造形が秀逸だ。なお、マンガでは隻腕ではない。

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 山や森で化け物退治をすることが多い「どろろ」で、海を舞台にした今回は異色のストーリー。巨大な人食い鮫となれば、どうしても「ジョーズ」が思い浮かぶが、実はマンガの「どろろ」の方が先。上陸して人間を襲う、というB級サメ映画のような展開もこの時点でやっており、手塚の発想の先見性に感心させられる。どろろが鮫の鼻先に立つという無謀すぎる作戦も、原作の通りにアニメ化されて嬉しい。

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 裸にひん剥くなんてひどい! という感想が見られたこの場面も、構図も含めて原作通り。
 しかしながら、ストーリーはかなり変えている。マンガでは、岬に攻めてくる侍たちはモブに過ぎなかったが、アニメでは多宝丸一行となり、より重要な戦いとなった。そのとばっちりで、しらぬいが直接百鬼丸と剣を交える機会がなくなり、印象的だった水葬シーンもないのは残念だ。
 そして最大の変更は、お宝。マンガでは、宝はすでに移されており、もぬけの殻だった。背中の地図は無意味だったという結末は、連載が打ち切られたこともあって、さらに虚無的な印象を強めた。ところがアニメでは、財宝が発見される。これは物語の終わり方に大きく関わってくるかもしれない。国に対抗するために使われるのか、それとも国を立て直す元手になるのか。

 …などとまじめに考えていたら、次回予告がギャグ回でどっちらけ。だがちょっと待て。このBGMはほげたら節のリスペクトではないのか。全く油断も隙もないアニメだ。
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2019年05月03日

田中圭一「若ゲのいたり」

 田中圭一が有名クリエイターにインタビューし、なつかしのゲームの開発秘話を引き出すルポ漫画。Webで連載されていたものが、ついに単行本になった。迷わず買うべし。
 今もWeb版は全編無料で公開されているが、こういうものはいつ消えるかわからない。やはり、後世に遺そうと思ったら紙の本に限るのである。
 内容は、ゲーム業界に詳しい人なら既知の事も多かろう。しかしそこは田中圭一。ゲーム開発経験者ならではの思い入れが発揮され、他では聞けない話が散見される。特に、「アクアノートの休日」「ゾイド」の回は貴重である。

 さて、田中圭一が得意とする、絵柄を変える技は今作ではなりを潜め、全編が手塚風で描き進められている。しかし、名越稔洋だけは本宮風に描かれていた。やはりそうなるか、と笑ってしまう。
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2019年04月27日

「どろろ」第十四話 鯖目の巻・第十五話 地獄変の巻

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 まだまだ名エピソードを残している「どろろ」、いよいよマイマイオンバが登場。
 「鯖目の巻」、赤ん坊妖怪がびっくりするほど原作準拠の姿で登場。これは続きに期待、と思ったが「地獄変の巻」がずいぶんあっさりしていて残念だった。原作でのマイマイオンバ戦は、美しい湖を舞台に、歌舞伎のような芝居ががった演出となっており、印象に残る内容。これがアニメになって動くとどうなるか、と楽しみにしていたのだが…。
 一方で、鯖目の描かれ方は掘り下げられている。原作では、化け物にほれ込んで家族を作ってしまった、私情で動く人物に過ぎなかったのだが、アニメでは領民のために化け物と契約しており、つまりはスケールの小さな景光になっているのだ。この挿話の悲惨な結末は、百鬼丸が景光を討てばどうなるか、その未来を暗示する。道を違えようとするどろろこそが、それを変えるための希望である。

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 さて、2クール目に入り、エンディングが変更になった。ほとんどのカットがぼんやりした抽象的な映像で、何をうつしているのか気になる。そして、最後のカットを見るに、これは百鬼丸の視界を表していると予想できる。
 本編では、いずれ百鬼丸の眼が取り戻されることになると思うが、それにあわせてエンディングもはっきり見えたりするのだろうか。
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2019年04月22日

諸星大二郎「雨の日はお化けがいるから」

 新刊「オリオンラジオの夜」を楽しんだ後、ふと表紙を見ると小〜さな字で〈諸星大二郎劇場 第2集〉と書かれているのに気が付いた。じゃあ第1集は何なんだ。

ameobake.jpg そんなわけで、探して買ってきたのがこの「雨の日はお化けがいるから」。雑多な短編が収録されている中で、特に印象に残ったのが「ゴジラを見た少年」だ。
 2014年の「GODZILLA」は、海外製とはいえ、久しぶりに復活したゴジラ映画だった。それを記念してビッグコミックが特集を組み、様々な作家がゴジラにちなんだマンガを寄稿した。「ゴジラを見た少年」はその中の一本となる。
 少年はゴジラを夢に見る。東日本大震災の被災者が、その日のことをゴジラが来た、と表現するわけだ。夢と現実、初代ゴジラの時代と現在、それら境界を行きつ戻りつするうちに、厄災の化身としてのゴジラが形作られていく。
 これは驚嘆すべき発想で、2014年版ゴジラとはあまり関係がない一方、初代のゴジラと、まだ作られていない「シン・ゴジラ」との間をつなぐ作品となっているのである。

 「シン・ゴジラ」も神話的な側面を持つ作品だが、諸星版ゴジラも見てみたくなった。
posted by Dr.K at 09:20| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする