2017年10月11日

「クジラの子らは砂上に歌う」第一節

 世界を覆いつくす流砂の中、人々は「泥クジラ」と呼ばれる浮島で暮らしていた。チャクロは、ここで記録係をつとめる少年。ある日、接近してきた他の浮島を探索中、謎の少女と出会い、連れ帰るが…

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 「クジラの子らは砂上に歌う」。今期期待のアニメである。原作のマンガは未読。独特の美術で表現された背景が印象的だ。
 アニメやマンガでは、ヒーローにせよヒロインにせよ、個性的なキャラが物語を牽引するタイプのものが多い。その方が興味も持たせやすいし、キャラ人気が出れば商売にもなるからだ。
 だが「クジラ」はそうではない。チャクロはおとなしく能力も乏しい。記録係なので、客観的に物事にあたろうとする。それによって、世界観の方が主役として浮き上がるという仕掛けだ。こういう世界の謎が中心になっている物語は、個人的には大好きなので、この調子で地味〜に進めていただきたい。
 深刻になり過ぎるのを嫌ってか、所々で挿入されるずっこけギャグが邪魔に感じた。とにかく雰囲気がいいので、少々まじめ過ぎようが、そのまま浸っていたい気がする。
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2017年08月17日

諌山創「進撃の巨人」23巻

 どういうこった、馴染みのキャラ全然出てこねえ!

singeki23.jpg 22巻で、壁外の世界がどうなっているか判明した「進撃の巨人」。
 それを受けて、23巻は壁外編とでも言うべきストーリーになる。新しい人物が続々と登場し、新しい巨人も登場。かつてない新展開に、違うマンガを読んでいるような感覚に陥る。ここで壁外の世界の事情を十分に説明し、やがて起こる壁内との戦争がクライマックスとなるのだろう。こういう大胆な構成は嫌いではない。
 問題は、そうなるまでに、いったいどれだけかかるのかということで、壁外編に何冊も費やすようだと、完結がどんどん遠のいてしまう。以前どこかで、諌山先生が、20冊くらいでの完結を言っていたような記憶があるが、もうそのつもりはないのだろうか。
 結末までアニメ化してほしい作品なので、変な方向に進んで失速しないか気がかりだ。
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2017年08月15日

「ありがとう、うちを見つけてくれて」

 本日は終戦記念日。

konosekafan.jpg だからというわけではないですが、「この世界の片隅に」の公式ファンブックをうたう「ありがとう、うちを見つけてくれて」を読みました。
 内容は、マンガ家によるアンソロジー、監督や声優へのインタビュー、タレントによる寄稿などです。

 マンガ家では、ちばてつやや高橋留美子といった大御所も参加していますが、突出していたのは鈴木健也。
 こうの史代の画風を再現しつつ、「この世界」の後日談となるエピソードを描いています。こうであってほしい、という続きを見せてくれており、しかも「マイマイ新子」へのオマージュになっているという、技ありの一本。ふだんは「おしえて!ギャル子ちゃん」を描いている人の仕業とはとても思えません!
 憑依芸ということで言えば、田中圭一がいますが、今回ばかりは分が悪かったようです。

 文章の方では、熱烈すぎてただのファンに成り下がっている歌広場淳がおかしかったです。それぞれに作品の分析やファンとしての好意を述べており、微笑ましいのですが、竜騎士07、てめーは全然ダメだ。
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2017年08月07日

手塚治虫展にびっくり

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 神戸ゆかりの美術館で開催中の「手塚治虫展」に行ってきました。この美術館を訪れるのは今回が初となります。

 こういう展示会では、パネルを眺めるくらいはしても、映像展示を終わりまで見届ける、なんてのはなかなかできないものです。しかし、今回は開館時間ぴったりに行ったこともあり、会場が空いていたので、すべてをじっくり見ることができました。
 「手塚家の8mm」。幼少時の手塚治虫が映っている、8mmフィルム映像です。もっと後の時代ならともかく、当時はこんな撮影機材を個人で持っている家は少なかったのではないでしょうか。お父さんの先進的な趣味が、手塚に影響を与えたのでしょうね。
 「虫プロダクションのスタジオ風景」。国産初のTVアニメである「鉄腕アトム」のメイキング映像です。今と比較すると何もかもが手作業で、とても面白いです。絵の速さ、鮮やかさに職人芸を感じます。番組の演出かもしれませんが、若い人が皆で楽しそうに働いているのも感慨深いです。アニメは最先端の職場だったのでしょうね。
 「手塚治虫伝 マンガ編」。これは、宝塚の手塚治虫記念館で上映されていたものですね。開館当時に一度見たきりでしたが、こんなところでまた観ることができるとは思いませんでした。

 以上、オーソドックスな内容ながら、それなりに満足して帰ると…

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2017年06月22日

「進撃の巨人」37 叫び

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「まだかな」

 早くも最終回となったアニメ2期。戦いのアクションも良ければ、ミカサのヒロインぶりも良い。途中の割にはきりも良く、文句の付けようのない完成度であった。
 さて、ラストシーンに現れたのは、獣の巨人。巨人サイドの黒幕と目されるキャラであり、「まだかな」というセリフは、こいつがエレンたちとの対決を待っているという意味にとれる。
 だが、ここまでの放送を楽しんできた我々としては断然、「続きはまだかな」という気分。おそらく、制作側もその意味を重ねるつもりで、原作にないセリフを入れたのだろう。
 CM明け、いつもなら予告が出るタイミングで、その回答が出た。
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やった〜、3期決定! この場面が出るということは、もう原作の最後まで追うことはほぼ決まり。今期が良かったので、続きのクオリティには期待しかない。来年は「まだかな」!
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2017年06月11日

「銃夢 火星戦記」4巻

gks4.jpg なんだ、この表紙の幼女だけかわいいグロ漫画は!

 …などと怒る素人だと思ったか。
 予想は当たった。悪役ムスターの背景はどんどん広がり、ついにはその過去へさかのぼった。作者の筆がのっている証拠である。木城ゆきとは破滅型の悪役を描かせたら絶品で、それはもはや愛といっていい。
 一方、今回ガリィの出番はほとんどない。主役抜きの方が面白いってどうなのよ。このペースだと、現代に話が戻るのはかなり先と思われ、対エーリカの決着が見られるのに何年かかるかわからない有様。
 無印「銃夢」では、無理矢理ながらハッピーエンドに収束させた。「Last Order」では、バトルマンガの結末として、ボス敵を倒させた。では「火星戦記」は? ここに至って、悪が勝つピカレスクエンドもあり得るような気がしてきた。
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2017年06月04日

「進撃の巨人」35 子供達

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 えっえっ、何これ?
 予想しなかったタイミングで、単行本未収録の最新のエピソードが使われて驚いた。ユミルの生い立ちをここに突っ込んだか、うまい! ユミルとクリスタがクローズアップされ過ぎて、エレンもミカサもすっかり影がうすい(笑)
 この回想、初見の人にとっては超展開ギリギリの内容となるため、話を追うだけでせいいっぱいだったかもしれない。一方、原作既読組は、謎解きの数々が背景で明かされているため、すべてを明かす話のときどのような見せ方をするのか、気になって仕方ない。しかも今期でそこまで話を進めるのは到底無理。ここはもう何としても3期4期と続けていただかねば。

 原作通りの順番で展開するという原則は今回で破られた。残りの回、アニメの視聴がますます楽しみになってきた。
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2017年05月07日

「進撃の巨人」31 戦士

 ついにこの話まで到達した。マンガで読んだとき、この作者どうかしてるんじゃないか、と思った名場面だ。
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まるで立ち話でもするかのようなさりげなさで、ライナーが正体を告白する。マンガでは、コマの端っこに小さく描かれるという常識外れの演出が施されており、二度見三度見してようやく内容を理解する読者が続出した。また、衝撃のネタバレとして、スキャンされた紙面がネットにも多数アップされたが、コラ画像だと思って信じなかった人もいたらしい。
 アニメでは、その内容を忠実に再現。ハンジたちの会話がノイズとして間にはさまることで、よりどうでもいい話のように聞こえるところがうまい。ライナーの声の演技にも磨きがかかっていて、ベルトルトの「彼は疲れているんだ」という言葉を真に受けてしまいそうになる。

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 それにしても、状況を見守るミカサの顔が怖すぎる。ひょっとしてライナーたちの話が聞こえているのだろうか。

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2017年05月03日

諸星大二郎「BOX 〜箱の中に何かいる」2巻

morobox2.jpg 「西遊妖猿伝」の新刊が出ないな、と思っていたら、諸星先生ったら別の連載をスタートさせていたんですね。しかも久しぶりの現代劇です。

 「BOX」は、謎のパズルに招かれた数人が、「箱」からの脱出を目指すという物語です。状況だけ見ると映画「CUBE」のようです。
 ですが、中身はいつも通りの諸星ワールド。「箱」の中では得体のしれない化物が跋扈し、一部では妖術バトルまで繰り広げられており、舞台さえ中国なら「諸怪志異」シリーズに入れておかしくない内容です。
 特筆すべきはキャラクターで、パンチラお姉さんやら、頭の足りないゴスロリ少女やら、諸星作品と縁のなさそうな人物が容赦なく取り込まれています。2巻ではついに主人公がボーイズラブ展開に巻き込まれることとなりました。しかし、ベテランが無理に世相を取り入れているような苦しさはなく、何をどう描いても諸星作品でしかないのがすごいです。クイズやらおまけやらもあり、先生自身が楽しんで描いているようで何よりです。
 とはいえ、なるべく早く悟空を天竺へ向かわせてほしいのですが。
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2017年04月20日

「進撃の巨人」28 南西へ

 楽しんでいることは間違いないのだが、面白さの方向が明らかにずれている。
 私はマンガを読んでおり、つまり先の展開を知っている。その状態で見ると、このセリフをこいつに言わせるか、ここでこんな意味深な行動をするか、と伏線がみんなわかってしまう。まるで推理ものの解決編を見ているような気分になる。
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 ウトガルト城に獣の巨人が現れた時、ことさらにびびっているのがこの3人というのも、無作為な選択じゃなくて演出なのだな。巧みだなあ。
 不気味なエンドロールも、最新刊の22巻を読めば、その意味がわかる。隅々まで情報が詰め込まれた充実のアニメだ。
posted by Dr.K at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする