ずしりと見ごたえのある話だった。アニメ化で声優の演技が加わったことによって、カビの痛々しさが大幅に増している。
〈戦士〉として何の疑いもなく育ってきたガビは、マーレの教育を盲信しており、外の世界を客観視できない。ガビは、為政者である大人たちによって翻弄される子供の代表だ。
一方で、カヤは、サシャの行動から高潔な精神を受け継いだ。これは、大人からの良い影響と言える。ガビとカヤの対決は、カヤの圧勝に終わった。しかし、「進撃の巨人」は、壁の中の者たちの方が正しいとは決めつけない。
この回は、カヤと対比される者がもう一人いる。ルイーゼだ。ミカサに助けられたことをきっかけに、兵団に入った彼女だが、フロックについてイェーガー派に与してしまう。憧れから盲信する者は危うい。それはどこに所属する者だろうと同じだ。
ネットでは、ガビが反日韓国人のようだと話題になり、荒れている。そのような見方は、物語のテーマを矮小化してしまう。ここに描かれていることは、もっと普遍的なことだ。