2020年11月15日

「漫勉neo」に諸星大二郎登場!

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 「漫勉」とは、浦沢直樹がマンガ家の仕事風景を取材するドキュメンタリー番組。定点カメラによって撮影された映像で、マンガ原稿執筆の現場が明らかになる。
 数年ぶりの放送となる今期は、ちばてつや、星野之宣など大御所の出演があった。そして前回、ついにと言うかまさかと言うか、諸星大二郎が登場した。何しろ表に出ることがない先生なので、ファンとしては、「生きてる! 動いてる!」と、タイムマシンでおばあちゃんに会いに行ったのび太君のような感想しか出ない。
 いつもなら、番組中はゲストと闊達な創作論を交わす浦沢だが、「う〜ん」とか「そうかなあ」しか言わない諸星相手に四苦八苦。絵に自信がなく、放送されたくない気配がありあり。書き損じて原稿を切り貼りしたり、スクリーントーンを失敗したり、という瞬間がばっちり写されていて最高に面白い。PCも使わず、アシスタントもいない、たった一人の現場で試行錯誤が繰り広げられる。この作品が収録された新刊は今月末発売。買います。

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 浦沢直樹は、好きな諸星作品として「カオカオ様が通る」を挙げた。なんちゅうものを選ぶんや。文庫では自選短編集「彼方より」に収録されている。思わず読み返してしまった。
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2020年11月07日

「未来少年コナン」26 大団円

 半年にわたって楽しんできた「未来少年コナン」も、これにて完結。前回で戦いは終わっているのだが、それにしては内容のぎっしり詰まった最終回だ。

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 初めて見たとき、モンスリーが結婚するのは本当にびっくりした。直前に、行方不明だったコナンが見つかったり、ラオ博士が息をひきとったりと、重要な話をやっているのに全部記憶から飛んでいるほどだ。しかもこの結婚式、バラクーダ号の進水式も兼ねていたとは、なんとも粋な設定じゃないか。
 宮崎駿の作品では、少年少女が主役であるせいか、結婚式が描かれることは意外とレアで、他には「風立ちぬ」くらいしか思いつかない。

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 海の男らしく(?)結婚を嫌がっていたダイスだが、モンスリーの花嫁姿を見るや態度を一変、堂々たる宣誓を見せる。この人間臭さがたまらんのである。それにしても、コナンの襟付きのシャツが似合わないこと(笑)

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 残され島は、地殻変動の影響で隆起したのか、大きな陸地になっていた。物語は、この新大陸が見つかったところで終わりとなる。上陸後の皆がどうなったのか、少し気になるが、実は毎週のオープニングが、その後のコナンとラナを描いている、という説を見つけた。本当なのか。絵コンテかどこかに書いてないかなあ。
posted by Dr.K at 17:10| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月30日

「未来少年コナン」25 インダストリアの最期

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 何度見ても惚れ惚れするギガントの雄姿。多様な武器を備えている、故障個所をパージできるなど、わくわくするギミックが満載だ。
 レーザー砲で三角塔を一撃、最終兵器の恐ろしさを見せていたにも関わらず、コナンらの活躍であっさり墜ちてしまう。その様子はなんだかもの悲しい。
 最強と思われていたものが、真価を発揮することなく滅ぶ。この見せ方は、宮崎駿のこだわりなのだろうか。「風の谷のナウシカ」では、巨神兵がわずかな稼働で腐り落ちた。「天空の城ラピュタ」は、ラピュタの雷を見せつけた後、バルスで崩壊する。それらはいずれも、ハッピーエンドへの道筋のみならず、滅びの美学とでもいうべきものを感じさせる。

 委員会の長老たちは、沈みゆくインダストリアに残る決意をした。これもまた滅ぶ者の美だ。ギガントから脱出しようとあがき、みっともない最期を見せたレプカとの対比が効いている。

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 地殻変動によりインダストリアは海へ没する。このときの禍禍しい景色もまた、滅びの美学に満ちている。
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2020年10月24日

「未来少年コナン」22 救出

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 いや〜、笑う笑う。ラナがレプカに捕まったので助けに行くという、緊迫した状況なのに、この水中コントである。今見ても素晴らしい動きだ。

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 そして、子供の頃の私を震え上がらせたのがこのシーン。脅す方法なんていくらでもあるだろうに、なぜこんなやり方なのか。ひょっとすると、NHKで子供向けアニメなので、暴力的な描写を控える目的があったのかもしれない。だが、結果として、静かで美しい見かけが状況の異常さを際立たせる名場面となった。
 この回以降、ラオ博士は、拷問により視覚や聴覚を失っており、ラナとのテレパシーでのみコミュニケーションができる。そのような重症にも関わらず、博士には目立った外傷がない。これもまた、子供向けアニメなので残虐表現を控えたものと思われるが、見た目でわからない障害というのはとても不気味で、印象に残る演出となった。
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2020年10月04日

「未来少年コナン」21 地下の住民たち

 インダストリアに着いたものの、フライングマシンが撃墜され、コナンが捕らえられてしまう。そのため、この回はコナンがあまり出ず、地下街を目指すラナたちと、単身レプカと対峙するモンスリーの方が主役となる。

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 モンスリーは、ハイハーバーのことを伏せてレプカに報告をする。様子を見るための行動だと思うが、この時点では、まだ完全に裏切るつもりはなかったのかもしれない。だが拷問されるラオ博士を見て、彼女は決断した。ひるまずにレプカを説得する表情が勇ましい。
 そして、コナンを逃がそうとして銃で撃たれる。

「インダストリアの弾も当たることがあるのね」

 この冗談めいたセリフ、19話で、至近距離からコナンを撃っても当たらなかった本人の実感から出ているのだろうか。どちらかというと、これまで何度もあった兵士たちの銃乱射シーンで、ちっとも命中しないじゃないか! という視聴者のツッコミに応えたもののように思える。だとすれば、まだメタ発言が許容される時代ではないのに、先を行き過ぎている。
 コナンを助け、自らが犠牲になる場面も、実にかっこいい。幼いころの私にとってあこがれのお姉さまとなった。
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2020年09月18日

「未来少年コナン」19 大津波

 子供の頃この番組を見て、モンスリーの劇的な変化に驚いた。この回が転換点だったのだな。

 コナンにガンボートを沈められ、インダストリアの兵たちは意気消沈している。モンスリーは司令官として兵たちを鼓舞し、有能ぶりを印象付ける。
 庭で犬を見つけたことをきっかけに、モンスリーは幼少時を思い出す。
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回想でのクララのようなお嬢様ビジュアルにびっくり。
 いつの間にかうとうとしていたモンスリー。目を覚ますとコナンがいた。モンスリーは、コナンがガンボートからラナを救出したか尋ね、それから銃を向ける。彼なら助けるに違いない、という確信が感じられる表情だ。
 コナンが大津波を知らせようとしたときも、その態度を見てモンスリーは信じた。敵同士でありながら、いつの間にか信頼が生まれていたのだ。モンスリーが味方につくのはもう少し先の話だが、ちゃんと準備段階が描かれていて見事だ。
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2020年08月30日

「未来少年コナン」17 戦闘

 コナンたちが暮らすハイハーバーに、ついにインダストリアの軍勢が現れる。

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 13話からのハイハーバー編は、子供の頃面白くないと感じていた部分だ。それまで、戦ったり逃げたりのアクションを繰り広げていたのが、ハイハーバー到着以降、インダストリアの脅威をひと時忘れ、平和で静かな内容に変化する。
 ハイハーバーは、農業や漁業によって復興した島。人のほとんどいない環境でサバイバルしてきたコナンやジムシィは、この島で初めて社会を知り、働くという事を学ぶ。今見ると、彼らの成長にとって必要なエピソードとわかるのだが、子供の頃は、ヒーローだった彼らが常識に囚われてしまったように見えて寂しかったのだろう。
 島の住人の中で、オーロをはじめとする数人の青年が、共産主義的なルールを嫌い、無法な生活を送っている。コナンくらいの少年は純粋だが、青年はグレているというあたり、当時の日本のような感じで妙なリアリティがある。

 コナンとオーロの小さな対立をあざ笑うかのように、インダストリアの襲撃。待ってました! ここからは毎週わくわくして見ていたものだ。
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2020年08月22日

研究のはずがまるでオカルト 「ぱいどん」

aitezuka.jpg 「ぱいどん」は、手塚治虫の作風を学習させたAIによる実験的マンガ作品。新聞などで研究は話題になっていたが、このたび書籍になったので読んでみた。

 本編は50ページに満たない。しかし、AIをどう活用してできたのか、というレポートが興味深い。
 例えば、キャラを作るにあたって、AIに手塚作品の大量の「顔」を学習させたところ、人間の顔に見える絵は生成できなかった。マンガのキャラは個性的過ぎて、正しく顔として認識できなかったらしい。そこで、実写の「顔」を追加で学習させると、キャラらしきものが出来たという。漫画家も、実在の人物などを参考に、キャラを描いているわけで、結局同じステップになってしまうところが面白い。
 そして、ストーリーについては、手塚作品を学習させたAIによって、プロットを生成している。ただ、あくまで断片的な設定やプロットなので、この作品の出来は、担当した漫画家の力によるところが大きい。AIのプロットは多数生成されたが、手塚眞のアドバイスで、意外性があり斬新なものが選ばれたらしい。制作担当者の苦労がしのばれる。

 ここで思い出すのが、「ノストラダムスの大予言」。予言自体は抽象的な言葉でしか書かれておらず、他の預言者やオカルト研究者によって、様々な解釈が成された。今回のAIも、お告げのようなものとは言えないか。最先端の研究がオカルトじみた結果を生んだとしたら、いかにも手塚治虫にはふさわしい。

 手塚がAIを扱った短編ということで、「サスピション ハエたたき」が併録されているが、デジカメも存在しない時代に「顔認証」の概念を使っているあたり、これはもう本物の預言者と言っていい。

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2020年08月03日

「西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章」1巻

sydshks1.jpg いつの間に連載が再開していたのか。実に5年ぶりの続編刊行である

 本屋でこれを手に取り、しばらく悩んだ。これは新作か? それとも再編集か? 読んでみると、「西域篇」6巻からちゃんと続いており安心した。新たな敵として、「西遊記」の中でも有名な牛魔王がついに登場。既存のイメージを覆すもの悲しい様子で、非常に気になる。きっとオリジナリティのある展開が待っているのだろうが、それについては、次巻以降の話となる。
 それにしても、わざわざ装丁を変えて1巻から数えなおすのはなぜだろう。
 ここで連想したのが、ゲーム会社の日本ファルコム。「ドラゴンスレイヤー」シリーズの一作だった「英雄伝説」が、いつの間にか「英雄伝説」シリーズになり、「英雄伝説」の一作だった「軌跡」が、いつの間にか「軌跡」シリーズになった。
 これもそんなようなものなのだろうか。いや、違うか。
posted by Dr.K at 23:46| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月19日

「未来少年コナン」11 脱出

 サルベージ船から逃げたコナンたちは、隠してあったフライングマシーンを起動。ジムシィたちを救出するべく、インダストリアへと向かう。

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 どんな原理で浮いてるんだ、フライングマシーン。子供のころ、一番乗ってみたかった乗り物だ。スピードもないし、高く飛べないし、武器もない。でも、なんだかとっても楽しそうな浮遊感に虜になった。この時点で、後にジブリファンになるように刷り込まれていたのだな。ストーリー上では、故障していて本来の力が発揮できていない、という設定があるのだが、そんなことはどうでもよくなる。起動シーンで、なかなか飛べないのがかわいいやらいじらしいやら。
 「映像研には手を出すな!」の冒頭で、この場面が引用されたのだが、さすがわかってる、と感心したものだ。
posted by Dr.K at 20:23| Comment(0) | 手塚治虫 変容と異形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする