前回:その1
●誰がアドベンチャーを殺したか?
95年頃から、アドベンチャーゲームはほとんどがギャルゲー・エロゲーとなり、一般向けのゲームとしては目立たない存在となる。この記事では、アドベンチャーゲームがこの時期になぜ勢いをなくしたのかを考察する。
●アドベンチャーゲームの需要
ゲームでストーリーを楽しみたい。かつて、その需要に応えてきたのは、「ドラクエ」などのRPGであった。しかし、90年、スーパーファミコンの頃になると、RPGは大作化、複雑化が進んだ。長時間、バトルを重ねないと進めないなんて…。もっとストーリーを手軽に楽しみたい。アドベンチャーゲームは、そういう需要に応える役を担ってきたと言える。
●サバイバルホラー登場
「バイオハザード」(96)カプコン
このゲームのヒットは、大きな転換点だったのではないか。ゾンビと戦う部分こそアクションゲームだが、謎解きに関しては過去のポイントクリック型のアドベンチャーゲームを踏襲している。本格的なアクションとストーリーを同時に楽しむことができ、プレイ時間もRPGのように長くない。アドベンチャーゲームを殺した戦犯の一人だろう。
●デモシーンの変革
「メタルギアソリッド」(98)コナミ
これもまた、ステルスアクションを楽しみつつストーリーを味わえるゲームだった。「MGS」で注目したいのはデモシーン。すべてをリアルタイムのポリゴンで演出していたのだ。この頃のゲームは、デモシーンが別で作ったムービーとなっているものが多かった中、珍しい選択だった。当時の私は、デモシーンなのにCGがガビガビで見づらい! 「バイオハザード」や「FF7」みたいに、ムービーにしてくれればいいのに! と文句を言っていたが撤回する。この段階でリアルタイムCGによるデモを研究していたからこそ、「メタルギアソリッド2」で高度な演出が実現したのだ。
ゲーム機の進化は、価値観を変えた。PS1の頃、ムービーは予算をかけた豪華な演出と見なされた。ところが、PS2以降は、リアルタイムCGがムービーに迫る画質となり、ムービーはご褒美としての価値を失っていく。挙句の果てには、〈ムービーゲー〉が悪い意味の言葉として広まり始める。ムービーに活路を見出そうとしていたアドベンチャーゲームはここでも行き詰まることになる。
ゲームでストーリーを楽しみたい。アクションゲームがその需要を飲み込んだ結果、アドベンチャーゲームは勢いを失った。その復活については、稿を改めたい。

