2025年08月24日

アドベンチャーゲームの特異点 その2

前回:その1

●誰がアドベンチャーを殺したか?
 95年頃から、アドベンチャーゲームはほとんどがギャルゲー・エロゲーとなり、一般向けのゲームとしては目立たない存在となる。この記事では、アドベンチャーゲームがこの時期になぜ勢いをなくしたのかを考察する。

●アドベンチャーゲームの需要
 ゲームでストーリーを楽しみたい。かつて、その需要に応えてきたのは、「ドラクエ」などのRPGであった。しかし、90年、スーパーファミコンの頃になると、RPGは大作化、複雑化が進んだ。長時間、バトルを重ねないと進めないなんて…。もっとストーリーを手軽に楽しみたい。アドベンチャーゲームは、そういう需要に応える役を担ってきたと言える。

●サバイバルホラー登場
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「バイオハザード」(96)カプコン
 このゲームのヒットは、大きな転換点だったのではないか。ゾンビと戦う部分こそアクションゲームだが、謎解きに関しては過去のポイントクリック型のアドベンチャーゲームを踏襲している。本格的なアクションとストーリーを同時に楽しむことができ、プレイ時間もRPGのように長くない。アドベンチャーゲームを殺した戦犯の一人だろう。

●デモシーンの変革
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「メタルギアソリッド」(98)コナミ
 これもまた、ステルスアクションを楽しみつつストーリーを味わえるゲームだった。「MGS」で注目したいのはデモシーン。すべてをリアルタイムのポリゴンで演出していたのだ。この頃のゲームは、デモシーンが別で作ったムービーとなっているものが多かった中、珍しい選択だった。当時の私は、デモシーンなのにCGがガビガビで見づらい! 「バイオハザード」や「FF7」みたいに、ムービーにしてくれればいいのに! と文句を言っていたが撤回する。この段階でリアルタイムCGによるデモを研究していたからこそ、「メタルギアソリッド2」で高度な演出が実現したのだ。
 ゲーム機の進化は、価値観を変えた。PS1の頃、ムービーは予算をかけた豪華な演出と見なされた。ところが、PS2以降は、リアルタイムCGがムービーに迫る画質となり、ムービーはご褒美としての価値を失っていく。挙句の果てには、〈ムービーゲー〉が悪い意味の言葉として広まり始める。ムービーに活路を見出そうとしていたアドベンチャーゲームはここでも行き詰まることになる。

 ゲームでストーリーを楽しみたい。アクションゲームがその需要を飲み込んだ結果、アドベンチャーゲームは勢いを失った。その復活については、稿を改めたい。
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2025年08月21日

ゲームは破綻する。「DEATH STRANDING 2」その4

 「デスストランディング2」をクリアした。前作は、クリア後もずいぶんプレイしたが、今回はそういう気分にならなかった。考えるに、おそらくエンディングのせいである。

注:以下にネタバレあり

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posted by Dr.K at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月17日

少年は知っていた。「Jusant」

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 少年が一人、干上がった海を歩いている。目指すは、空高くそびえる塔のような島だ。これが「Jusant」の始まり。PS+フリープレイで入手したものをようやくプレイした。

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 ゲームは、フリークライミングアクション。L2で左手、R2で右手が手がかりを掴む。うっかりボタンを離すと落ちてしまうので油断がならない。ただ、体感的な操作になっているかというと、やや中途半端。左スティックで手をのばす方向を操り、右スティックはカメラ調整となっているのだが、私は「クレイジークライマー」のやり過ぎなので、左スティックで左手、右スティックで右手、という操作の方がしっくりくる。
 感心したのはロープとハーケン。初めは、ゲームの癖に命綱があるのか、くらいに思っていたが、任意のタイミングでハーケンを打つことができ、そこを支点にロープにぶら下がることができる。すると、ロープを振ってワイヤーアクションもできるし、壁走りも可能になる。他のゲームではできないような移動ができ、独特のやり応えにつながっている。

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 とはいうものの、やはり興味の中心はその世界観だろう。少年はひたすら崖を登っていくが、そこは全くの自然ではなく、人々が暮らしていた痕跡がある。崖の上には何があるのか、人々はどうなったのか、少年が連れている怪生物は何か、など数々の謎に惹きつけられる。

(注:以下に結末までのネタバレ含む)

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2025年08月10日

ゲームは引用する。「DEATH STRANDING 2」その3

 「小説は単独では存在し得ない。過去の作品の引用と模倣によって成り立つのである。」と、後藤明生は言った。だからと言って、中身の半分が引用というのはどうやねん、と先生の小説に首をかしげていたのが大学生の私である。それから35年、「デスストランディング2」をプレイしながら、先生の講義を思い出すことになるとは思わなかった。ゲームが前作で確立しているのをいいことに、あちらこちらで小島秀夫の趣味が引用されている。

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2025年08月02日

ゲームは交遊録。「DEATH STRANDING 2」その2

 「デスストランディング2」では、サム役のノーマン・リーダスをはじめ、名だたる俳優が出演している。彼らが出演することで、ゲームの話題性がアップしていることは言うまでもない。
 ところが一方、配送先で待つ人々の役で、雑多な有名人が起用されている。こちらは、話題性目的というよりは、小島監督の私的な交遊録とでも言うべき人選になっている。人と人とをつなぐことをテーマにした、このゲームにふさわしいお遊び要素だ。

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2025年07月17日

未来イカ革命「Splatoon3」 その26

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 久々のフェスとなる「Summer Nights」。お題は「旅するなら?」で、〈海〉を選んで順当に勝利。

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 フェスの時しか参戦しないので、アップデートのことを知らずにいた。サービス終了を待つばかりと思っていたが、まだまだ続くみたいで頼もしい。
 驚いたことに、大量の新ブキが追加されている。傘マニアの私としては、〈スパイガジェット繚〉に注目していきたい。相変わらず誰も使ってない様子だけど(笑)
 さらに、この期に及んで新ステージ追加。デカライン高架下とは懐かしい。今後も、旧作のステージがリメイクされていくのだとしたら楽しみだ。

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 8月に公開予定の映画、「大長編タローマン万博大爆発」は必ず観に行く。
posted by Dr.K at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月13日

「ウマ娘」4.25周年 無人島へようこそ

 先日、Steamで英語版「ウマ娘」がリリースされた。日本の競走馬など知るはずもない海外ユーザーの反応が、なんとも初々しく微笑ましい。

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 さて、日本版は夏休みを控え、新育成シナリオ「無人島へようこそ」が始まった。ウマ娘たちがとある島にトレーニング施設を作る、という物語だ。色々なウマ娘が入れ代わり立ち代わり登場するので、どこが無人島? と言いたくなるが、ウマ娘は人ではないと言われればそれまでである。
 ゲーム的には、トレーニングのアニメが一新され、施設作りシミュレーションの要素もあるので、手が込んでいる。しかし、ストーリー面では、レースに出るたびに日本へ飛んでいることになり、かなり無理のある設定に感じる。

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 エンディングとして、新曲「タッカー's スキルアップアイランド」が流れるが、今回は「うまぴょい伝説」が復活しているのが嬉しかった。やっぱりこれがないと締まらない。
 それにしても、育成のインフレが凄まじい。トウカイテイオーでプレイしてみたところ、UD4まで到達した。このレベルになってくると、負ける方が難しく、個別シナリオの緊張感ある設定が全く活きてこない。今、最初の育成シナリオを始めたばかりの海外勢が見せる、一喜一憂がうらやましく懐かしい。
posted by Dr.K at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月07日

デレステ更新終了の研究レポート その1

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 公式から〈重要なお知らせ〉があり、デレステの運用体制の変更が告知されました。10月以降はアイドル、楽曲、イベントが追加されず、つまりは更新終了。事実上、サービス終了を待つ状況となります。ゲームは10周年を控え、記念ライブもまだあるのですが、これでは会場がお通夜になってしまうのではないでしょうか。

 私はかつて、ゲームのアイドルは永遠に老けない、とどこかで書きました。どうやらそれは誤りだったようです。かつては最高レベルだった3DCGも、今では型落ちになりました。システムも古くなっており、一新するくらいなら新作を出した方が簡単でしょう。そして何より声優。人気が出れば他の仕事が増え、ライブに出演し続けることができる人はもともと限られています。年月が経てば、その傾向はより顕著になるでしょう。カバー曲の削除は盲点でした。権利料、期間ごとに払う仕組みだったんですね。

 私は、今後もプレイを続けるつもりです。何しろ「デレマス」からの付き合いですからね、最後まで見届けるのが義務でしょう。
 まずは、アイドルコミュを見ていくことにします。声なしアイドルのコミュ、声が入ったら見ようと放置していたんですが、もう更新がないので保留を解くことにしましょう。

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 このタイミングで、「シャノワール・ヴォヤージュ:宮本フレデリカ」が当たりました。かつての住処を懐かしむ姿が、ゲームの今に重なって見えます。
posted by Dr.K at 08:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月01日

ゲームは予言する。「DEATH STRANDING 2」その1

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 「デス・ストランディング2」の最初の任務は、メキシコへ〈カイラル通信網〉を拡げることだ。サムは、アメリカ政府の通信を国境の外へ広げることは、他国への侵略になるのではないか、と疑問を呈する。依頼主は、コミュニケーションの手段を講じたいだけで、そのような意図はないと説明する。

 「デス・ストランディング」は、災害により、人類がシェルターに籠って暮らすようになった未来を描く。発売は2019年、当時の第一次トランプ政権による国民の分断を批判し、人々を〈つなぐ〉ことにこだわって作られたゲームだった。
 ところが翌2020年、世界はコロナ禍に見舞われた。人々が籠って暮らすことが現実になり、このゲームの世界観はまさしく予言となった。「ウーバーイーツみたいな」配達ゲーム、と説明されることがある「デススト」だが、実はウーバーイーツが流行るより先に出ていたのである。

 さて、その続編である「デス・ストランディング2」。何年もかけて開発していたこのゲームの発売が、第二次トランプ政権のさ中になるとは、小島監督も予想しなかったはずだ。ゲーム中のメッセージの一つ一つが、政権への鋭い批判に感じられてならない。
posted by Dr.K at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月22日

「Clair Obscur: Expedition 33」その6 考察というより整頓

 ついにエンディング。含みのある結末だったので、自動セーブのデータを遡り、もう一つの結末も見た。いずれにせよ、物語の急展開に翻弄され、呆然としたまま終わってしまったので、この記事では考察、というより整頓を試みる。

注:以下結末のネタバレ有

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posted by Dr.K at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム百鬼夜行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする