2017年03月29日

SING その1

 エキセントリックな動物アニメの外見はまやかし。優しく癒される傑作である。

 コアラのバスターが寂れた劇場を立て直す物語、として見てしまうと、意外とバスターが何もできておらず、物足りない。しかしこれは群像劇。それぞれに事情を抱えた出場者が、歌によって自分を救う話なのだ。決して声高に正義を押し付けず、正しい人も正しくない人も、歌によってひと時の安らぎを得る。多彩な登場人物(?)の中に、共感できる奴が必ずいるはずだ。

 一方、技術的には、この作品はアメリカから送り込まれた刺客と言える。

 「プリキュア」のエンディングがCGになったのはいつからだったろう。「アイドルマスター」のゲームの発売。そして、初音ミクがライブを開催したこともあった。いまや日本は、CGのアイドルが歌い踊る異界である。
 「SING」は、それらを超えるCGを見せてくれる。リアルとかきれいとかそういう話ではない。感情が熱くこもっているのである。クライマックスのライブは、物語に沿った説得力のある演技になっていた。実に見事だ。

 動物ならではの社会を作りこんだ「ズートピア」とは異なり、「SING」は動物のなりをした人間ドラマだ。ではなぜ動物にする必要があったのか。人間で表現したのでは直接的すぎる部分があるからかもしれない。だが一番の理由は、CGによる感情表現のためだろう。人間のキャラだと、感情表現はあって当たり前なので見過ごされたり、実際の人間との微妙な違和感を指摘されてしまう可能性が高い。見た目が動物だからこそ、観客はそこに人間の感情を読み取ってはっとするのだ。

 そうそうたる洋楽の名曲・ヒット曲を歌う動物たちに交じって、きゃりーぱみゅぱみゅを歌う5人組が出てくる。オーディションに落ちても帰ろうとせず、英語もわからない迷惑な奴らだ。日本のアイドルがディスられているわけだが、きゃりーぱみゅぱみゅはこんな使われ方をしてどう思っているのかな(笑)

予告編の魅力 4
癒され度   10
吹替え本気度 10
個人的総合 9
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2017年03月25日

自由すぎるゼルダ 「ブレス オブ ザ ワイルド」その3

●自由すぎて自業自得
 人によって進め方は異なりますが、今のところ素直にカカリコ村→ハテノ村→ゾーラの里、と移動しています。
 カカリコ村への道中では、間に双子山がそびえています。山間の川沿いに進むのが正規のルートなのですが、要所要所でボコブリンが監視しています。ザコのくせに結構いい武器を持っており、シャツを着ただけのリンクは一撃で死にます。
 ならば戦うのはやめましょう!
 このゲームに行けない場所はない! 街道を避け、峻険な山を越えることにしました。ボコブリンの目は避けられましたが、代わりに、ガーディアンやらイワロックやら、でかい奴と遭遇。武器もろくにないので、逃げるのみです。だいぶ迷いましたがどうにか村に到着です。
 続くゾーラの里への道では、リザルフォスが配置されています。ボコブリンより上位の敵であり、かなうわけがありません。不戦プレイが続きます。走って逃げて道を見失って、を繰り返しながらの到着となりました。ですが、ここでいよいよ神獣の話が始まります。避けられぬボスとの戦いが近づいているようです。
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 王子、無理です。

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2017年03月20日

「スケイルバウンド」開発中止についての憶測


 Xbox Oneユーザーにとっては、年明け早々のバッドニュース。ただでさえ少ない独占タイトル、しかも国産のゲームが中止となって、失望も非常に大きかった。今回は、読者の方から質問があったこの問題について考えてみる。実際の事情を知っているわけではないので、あくまで外から見た憶測だが。
 調べてみて思ったのだが、これ、相性の悪い組み合わせだったんじゃないか。

 まずはパブリッシャーであるマイクロソフトの言いぶん。


 開発が遅れていたこと、にもかかわらず、他のプロジェクトにスタッフを回したことなど、不信感の原因が記されている。
 アメリカは契約社会である。開発途中のステップも細かく取り決めされており、遅れれば切る、というドライなイメージ通りの結果である。

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2017年03月17日

自由すぎるゼルダ 「ブレス オブ ザ ワイルド」その2

 今度の「ゼルダ」では、各地に祠が点在しています。祠では、試練と呼ばれる短い謎解き(ところにより戦闘)があり、クリアすると守護者から「克服の証」がもらえます。
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守護者の姿はどう見ても即身仏。ゲームとしては異質なビジュアルであり、インパクトがあります。ゲーム中には祠がたくさんあるので、それだけの人数が成仏しているとなると、ちょっとぞっとしますね。
 さて、自由すぎると評判の「ブレス オブ ワイルド」ですが、まさか謎解きまで自由とは思いませんでした

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2017年03月16日

ソードアート・オンライン オーディナル・スケール

 卒業生グループに誘われて観に行ったが、あきれたことにシリーズの知識があるメンバーがほとんどいない。あまりに無謀な挑戦だ。とはいえ、卒業生はそれぞれゲーム会社で活躍している中堅なので、今どきの若いもんをリサーチしようという意図があったのやも知れぬ。そんなわけで、以下は小説もアニメも全く知らずに観た感想。

●VR→AR
 とりあえず内容はわかったのでほっとする。
 小説「ソードアート・オンライン」は、FF11をはじめとするMMORPGの発展を背景に書かれた。未来のMMORPGではVRが活用され…という設定だ。
 映画「オーディナル・スケール」では、別のゲームが舞台となる。今度はポケモンGOにインスパイアされたのか、ARを活用したゲームとなっている。
 舞台が移ったので、これまでの話を知らなくてもついていける反面、VRやARといった技術については既知のものとして扱われており、素人お断りの映画となっている。決して作画の悪いアニメではないのだが、アニメの絵柄で、実景とARとVRの世界を描き分けるのはかなり無理がある。

●変化しないキャラクター
 小説やアニメでキャラクター性や人間関係が確立しているため、それを動かさない方向でストーリーが作られている。
 すでに英雄であるキリトが成長したり、アスナとの関係が危機に陥ったりという展開はない。

●記憶の危機
 過去の「ソードアート・オンライン」では、クリアしなければプレイヤーが実際に死ぬという危機があった。
 「オーディナル・スケール」にはそのような設定がない代わりに、アスナが「ソードアート・オンライン」の記憶を失っていくという危機が示される。ゲームではあるが、キリトとアスナが出会い、育んできた大切な時間。キリトはそれを守るために奔走し、戦う。
 守るべきものが命から記憶へと変わった。これが共感を得るかどうかがこの映画のカギとなる。例えば、一つのオンラインゲームを何年もプレイしているような人なら、その感覚が実感できるだろう。しかし、実際には、無料のゲームを次々に遊び散らし、大して思い入れもないという人も多い。キリトの心情に近づける観客は意外と少ないのではないか

●アイドル
 作中では、初音ミクのごときバーチャルアイドルが人気を博し、戦闘シーンをライブで盛り上げる。流行の要素をどん欲にとり入れた作りには恐れ入る。

時代性 10
アクション性 7
ドラマ性 3
個人的総合 5
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2017年03月12日

自由すぎるゼルダ 「ブレス オブ ザ ワイルド」その1

zbow010.jpg 「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」、WiiUでプレイしてますが噂通りの見事な出来! 人によってプレイ内容が大幅に変わるゲームなので、以下は個人的な冒険の記録となります。ネタバレが気になる人はご注意を。

●「アバター」の如き目覚め
 SF的な睡眠装置から起床。まるでゲーム機なシーカーストーンをゲット。洞窟から外へ出た景色が素敵!

●「ダークソウル」のように死にまくり
 ご老人の導きがありますが、せっかくのオープンワールドなのでうろついてみます。リンゴをとったり、ボコブリンと戦ったり、のんびりできたのは1分だけ。
 なんか遺物があるぞ、と思って近づいたらビーム撃たれて一撃死。高いところから落下死。泳ぎ疲れて溺死。寒くて凍死。予想外の死にゲーです。

●「アサシンクリード」より登りまくり
 シーカータワーと呼ばれる電波塔みたいな奴を訪れると、周囲の地図を獲得できます。アサシンクリードのシンクロと似てますね。
 アサシンクリードと言えば、壁によじ登れるアクションが特徴でした。しかし、今度のゼルダはもっとすごいです。ほとんど手掛かりがないような崖も登り放題。過去のゲーム経験のせいで、ここは行けない、と思い込んでしまう先入観が最大の敵です。

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2017年03月11日

一本目から奇襲? 「1-2-Switch」

 春休みの学校に、ニンテンドースイッチを持ってきた学生がいたので、急遽「1-2-Swich」の体験会となった。
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 まず外人にびっくり。外人がゲームを楽しんでいる姿は、てっきりプロモーション映像用だと思っていたのだが、実際は各ゲームの説明映像だったのね。ぱっと見、海外製のゲームみたいだ。

 「カウントボール」、振動機能の進歩にびっくり。球が本当に動いて感じられる。
 「トレジャーボックス」「金庫破り」「ジョイコン回し」、ジャイロの精度が高くなったからこそ実現したゲーム。個人的には「ひげそり」の完成度を誉めたい。
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 とにかく変なゲームが多く、最初なのに奇襲かよ、と思う人もいるだろうがそれは違う。Wiiのときには「Wii Sports」。WiiUでは「Nintendo Land」。任天堂の新ハードでは、初日に機能説明を詰め込んだゲームが出るのが通例で、スイッチでは「1-2-Switch」がその役を担う。ジョイコンを立てたり寝かせたり、ストラップを付けたりはずしたり、「赤ちゃん」プレイ時には携帯モードに組み立てなければいけないなど、プレイスタイルのすべてをこれ一本で経験させようとする。遊び終わるころには、スイッチの使い方が自然にマスターできるわけだ。
 それにしてもこのゲーム、パーティーゲームだということは事前にわかっていたが、あまりに一人で遊べないのにもびっくり。「Wii Sports」でも「Nintendo Land」でも、申し訳程度に一人でも楽しめる種目が用意されていたのに、そういう配慮がない。たとえ家に相手がいなくても、スイッチはWiiやWiiUと違って持ち出せるハードなので、パーティープレイ一本で行ける、ということなのだろう。「Wii Sports」のように、世界中で長く愛されるゲームになるかどうか、要注目だ。
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2017年03月05日

憎いほどの貫禄 「Gravity Daze 2」その5

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 メインミッションをクリア。いや〜、これは憎い。良い映画のような小粋な結末であるばかりか、ストーリーとゲーム体験とを連携させる工夫に満ちている。以下、ネタバレしつつそれらの紹介。

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2017年03月04日

カヤックの「いちゲー採用」、なかなか良い。

 3月になり、新卒採用が解禁となりました。就職年次の皆様におかれましては、説明会に応募書類に大忙しかと思われます。
 さて、そんな中、面白法人を自称するカヤックの採用が話題になっています。


 こんな方法で良い人材が採れるのか? ただ話題になりたいだけなのでは? など訝しむ声もあるようですが、いやいやどうして、これは結構良い選考方法かもしれませんよ。以下にその理由を挙げます。

●ヘビーユーザーの視点を持つ人が得られる
 現在、ゲームのプレイ人口は多くなっていますが、ヘビーユーザーはあまり増えていません。なぜなら、ゲームが数多くリリースされ、なおかつ基本無料だったりするため、浅いプレイで次々にゲームを消費する人が多いからです。
 一方、ゲームを開発するには、深い分析に基づいた知識や経験が必要です。やり込んだプレイヤーのみに与えられるプラチナトロフィーを指針とすることは、理にかなっていると言えます。

●最先端に意識の向いた人を選べる
 プラチナトロフィー選考に応募するためには、PS4を所持している必要があります。カヤックはスマホアプリを主に開発している企業ですから、この条件は奇異に見えます。
 しかし、ゲームを開発する人は、最新、最高性能のハードに意識を向けるべきであり、PS4を持っているかどうかでそれは推し量れます。別にソニーをひいきしているのではありません。来年の採用では、switchを持っていることが条件かもしれませんよ。

●面白い人が見つかる
 突飛な条件での採用なので、一般的な就職対策が通用しません。また、カヤックに受かるだけのために、今からトロフィーを取ろうとする人はいないでしょう。以上から、型にはまらない面白い人を発掘することができます。
 また、こんなことで採否を決められたくない、という人はカヤックへの応募を避けるでしょう。結果として、社風にあった人のみが応募するようになり、採用活動がはかどります。

 などと分析すると、いかにも深慮遠謀のようです。しかし、過去にも奇抜な採用方法で幾度となく話題になっているカヤックのことですから、単なる気まぐれ、思いつきだったりして(笑)
posted by Dr.K at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月28日

GCC'17で興味深いセッション多数

 ゲーム開発の技術発表会としては、毎年東京で開かれているCEDECが有名だ。ありがたいことに、最近は、大阪でもGCCという勉強会が開かれている。その中から気になったセッションをいくつか挙げる。

 3Dのホラーゲームという新ジャンルを確立した「1」。日本発の新しいTPSとして好評を博した「4」。「バイオハザード」は、安定の人気作というよりは、実験作としての姿がよく似合う。「7」はVRにも対応した新規性の高い内容で、久しぶりに評判も良い。残念ながら怖すぎるため、私は今のところプレイする予定がない。

 任天堂とカプコンの連携。過去には、任天堂が「ゼルダの伝説」シリーズの開発をカプコンに依頼したことがあった。また、カプコンがゲームキューブに独占タイトルを連発したこともあった。
 今回の講演では、「スト2」以外に具体的なタイトルは出ていない。しかし個人的には「モンハン」の新作に期待してしまう。大画面でモンスターを狩るゲームとして始まったPS2版、そして、ゲーム機を持ち寄る楽しさで大ヒットしたPSP以降。Switchであれば、この両方の楽しさを一本で達成できるじゃないか。

 カプコンと袂を分ったプラチナゲームズだが、「ニーア オートマタ」など順調に実績を上げている。この記事を見ると、奇をてらった所はなく、昔のカプコンで培われたアクションゲームの基本が継承されていることがわかって安心する。

 デベロッパーだと、売ることについてはクライアントに一任しているのかと思いきや、さすがインテリジェントシステムズ。オリジナルなものを作るためには企画の根本がしっかりしていないと、と再確認。

 こうして、講演の要点がWeb上にまとめられているのもとてもありがたい。勉強のネタに事欠かず、いい時代になったもんである。
posted by Dr.K at 00:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 馬鹿は黙ってろ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする