名もなき労働者のプシュパが、密輸で成り上がり、インドのギャングどもをぶちのめす! 続編の公開を機に、リバイバル上映されたシリーズ1作目。
物語は、PS2みたいな低品質のCGで描かれたトンチキなジャパンからスタート。三味線に使われる紅木(こうき)が、日本の料亭から、延々と逆回し映像で追跡され、海を渡ってインド、そして原産地の山林へ。ここでようやく普通の実写に切り替わる。
主人公のプシュパは、日雇い作業員なのに椅子にふんぞり返っていて態度がでかい。とがめられると、その日の金を受け取ってあっさりやめる。同僚のケーシャヴァが、この大物について行こうと決断。思い切りが良すぎる(笑)
プシュパは安い仕事には目もくれず、危険で報酬の大きな仕事を選ぶ。それは、地元警察の目を欺いて、紅木を不法に伐採する仕事だった。密輸を仕切るコンダ組は警察にマークされていたが、プシュパの策で押収を逃れ、プシュパは一目置かれる存在になる。さらに、コンダの取引先が高いマージンを取っていると知るや、プシュパは組を通さず直接商談に及び、それに反発したコンダの刺客を返り討ちにする。主人公が偉くなったら仲間が増えるかと思いきや、プシュパは他人に関心がないのか、ついていくのはケーシャヴァだけというのがユニークだ。
現実の労働者は、雇い主には口ごたえ一つできない。そんな鬱憤を、プシュパが代わって晴らしてくれる、というのがインドでこの映画がヒットする理由なのだろう。強くてハンサム、まさに無敵のプシュパだが、モテモテかと思いきや、恋愛に関しては中学生のような素朴さで描かれる。このギャップもまた、彼がインドの労働者の代理だからだろう。
私は若干世代が合わないが、昭和のヤクザ映画ってこんな感じで人気だったのかな、と想像した。
そんなプシュパにも一つだけ弱みがある。彼は名家に生まれたが、妾の子だったので父の死後は家族と認められず、姓を名乗れないのだった。いかなる敵の脅迫も恐れず、喧嘩になれば無敵、というプシュパが、父の本妻の子である兄にだけは何を言われても反論できない。極端な描写に、この問題の根深さを感じた。貧富の差に加え、身分制度の壁もあるインドでは切実なのだろう。
とは言え、全体としては、深く考えずに楽しむべきエンタメ映画である。
物語終盤、新たな敵としてシェーカーワト警視が着任するが、こいつがすこぶるイカれている。彼は、摘発した犯罪者をトラックに詰め込み、部下に運転を任せて、助手席で寝ようとする。そのために席を倒そうとするが、後ろが犯罪者でいっぱいで倒せない。そこで、二人ほど射殺してスペースをあけて寝た。なんという斬新なサイコパス描写! こりゃあプシュパとの対決が楽しみだぞ、と思ったら〈続く〉!
リバイバル上映なので直ちに続編を観られるのが救い。元の公開では3年待たされたらしく、シャレにならない。
暴力度 8
不遜度 10
コンプラ度 2
個人的総合 5